抗えぬ世代交代の波…逸材揃いの2006年高卒ドラフト組 17年目で迎える“正念場”
2006年秋の高校生ドラフト入団で現役を続けるのは9人
今年4月に通算2000試合出場を果たすも、右太ももの肉離れにより2度の登録抹消もあった巨人・坂本勇人内野手だが、戦列復帰後の8月は月間打率.318、5本塁打と本来の打棒を取り戻している。坂本は、2006年秋の高校生ドラフトでプロ入りした、17年目の今年35歳。いわゆる、斎藤佑樹(早実-日本ハム)を中心に球界を沸かせた“ハンカチ世代”の1人だ。年齢的にもベテランの域にいる同ドラフト組の現状を追うと、正念場を迎えている選手もいる(記録は3日現在)。
同ドラフトでプロ入りし、現在もMLB・NPBで現役を続けるのは、坂本の他に、前田健太投手(ツインズ)、田中将大投手(楽天)、梶谷隆幸外野手(巨人)、會澤翼捕手(広島)、堂上直倫内野手(中日)、福田永将内野手(中日)、福田秀平外野手(ロッテ)、木村文紀外野手(日本ハム)の計9人だ。
MLBで活躍するのは前田のみ。広島のエースとして97勝を挙げ、2015年オフにメジャーの舞台へ。2021年に受けたトミー・ジョン手術の影響で1年のブランクがあったものの、今季復活を遂げ、3勝7敗、防御率4.69ながら先発ローテーションの一角として奮闘している。
同じメジャー経験者の田中将は、2021年にヤンキースから復帰後は苦闘が続いている。2013年に24勝無敗(1セーブ)の驚異的成績で楽天に日本一をもたらした剛腕も、昨季はリーグワーストの12敗(9勝)。今季も7勝8敗と黒星が先行し、被本塁打はリーグワーストの14本だ。日米通算200勝まであと3勝と迫るだけに、復調を待ちたい。
育成契約からの復活…2軍では活躍も1軍出番なしの選手も
野手組で存在感を示しているのは、梶谷と會澤だ。DeNAから巨人移籍3年目の梶谷は、昨年は左膝手術の影響で育成契約になったものの、今季開幕前に支配下に復帰、82試合で打率.295をマークしている。會澤は出場こそ43試合にとどまるものの、新井貴浩新監督の下で2位と好調のチームをまとめる大黒柱的存在。プロ野球選手会長としてグラウンド外でも活躍している。
一方で正念場なのは、このドラフトで田中将(4球団)に次ぐ3球団の競合の末に中日入りした堂上だ。2016年に最多131試合に出場して以降は、出番が減少傾向。昨季は16試合にとどまり、今季も8月23日に初めて1軍登録されたものの、3試合出場で9月1日には2軍に逆戻りとなった。かつて4年連続2桁本塁打を放った同じ中日の福田も、7月は代打本塁打を放つなど復調気配を見せたものの、現在は2軍とチャンスに恵まれずにいる。
堂上と同じく“ドラ1”の福田秀平は、ソフトバンクからロッテに移籍した2020年に負った右肩の故障以降は苦しんでいる。今季も6月に1軍へ昇格しマルチヒットを放つなどしたが、3試合で抹消。2軍では74試合で打率.283の成績だけに、復活に期待したい。同じく“ドラ1”で投手から野手に転向している木村も、西武から日本ハム移籍3年目の今季は、ここまで1軍の出番なし。ファームでは5本塁打と豪快な一発も放っているだけに、昇格のチャンスを待ちたい。
大学・社会人経由の同世代では、DeNAの宮崎敏郎内野手がセ・リーグの首位打者を突っ走り、ソフトバンク・柳田悠岐外野手も打撃3部門で上位に食い込む。高卒ドラフト組も負けてはいられない。
(Full-Count編集部)