日本より長丁場…元オリ投手が解説するMLB ポイントは移動の多さと“過密日程”

エンゼルス・大谷翔平【写真:ロイター】
エンゼルス・大谷翔平【写真:ロイター】

日本と米国の違いを元NPB選手が解説

 エンゼルス・大谷翔平投手をはじめとした日本人選手の活躍で、メジャーリーグの情報に触れる機会が増えた。リーグの仕組みやシーズンの流れについて、理解している人はどれほどいるだろうか? 今回は、元オリックス・巨人の鈴木優氏が、日米の違いをわかりやすく説明していく。

 リーグ構成は、米国とカナダに本拠地を置く30球団が、ナショナル・リーグ(ナ・リーグ)とアメリカン・リーグ(ア・リーグ)に分かれている。そして、各球団が東、中、西の3地区に所属してリーグ戦が行われている。

 レギュラーシーズンはNPBが143試合なのに対し、162試合と多い。日本と大きく違うのは、同じリーグのチームと繰り返し対戦することがない点だ。今季から導入されたルールでは、同地区のチームとは52試合しか対戦せず、同リーグで別の2地区の10チームと64試合をする。そして、リーグが違う相手とも46試合対戦する。NPBで例えると、年中交流戦をやっていて、少し多めに同じリーグのチームと試合をする感じだ。

 選手にとっては広いアメリカの移動の負担が大きいこと、何度も対戦することがないため、よりデータを使った野球になることが大きな負担の一つになる。ファンにとっては、どこに住んでいても、地元のチームで多くの球団や選手を見られることはメリットといえる。

 約半年で162試合を消化する過密日程なため、雨天などで中止になると、ダブルヘッダーが組まれることが珍しくないのも日本と違うところだ。

元オリックス、巨人の鈴木優氏【画像:パ・リーグ インサイト】
元オリックス、巨人の鈴木優氏【画像:パ・リーグ インサイト】

長いレギュラーシーズン後にある本当の闘い…世界一までの道のり

 レギュラーシーズンが終わると、ポストシーズンが始まる。地区優勝6チームと、各リーグの優勝チーム以外で勝率が高かった6球団の計12チームが進出する。“世界一”の称号を勝ち取るまで、「ワイルドカードシリーズ」「ディビジョンシリーズ」「リーグチャンピオンシップシリーズ」「ワールドシリーズ」と戦わなければならない長丁場だ。

 最初の「ワイルドカードシリーズ」は、各リーグのプレーオフに進出した6チームの中から、勝率の低い4チームを2つに分け、先に2勝した方が次ラウンドに進む。同シリーズを抜けた2チームと、先ほど免除された勝率の高かった2チームの計4チームで、3勝先取の「ディビジョンシリーズ」を行う。

 それを勝ち抜き残った2チームで、4勝先取の「リーグチャンピオンシップシリーズ」を行い、両リーグの代表が激突するのが4勝先取の「ワールドシリーズ」となる。

 日本よりも試合数の多いシーズンに加え、長いポストシーズンを勝ち抜いて、ようやく手にすることができるワールドシリーズ制覇の価値は、とても高いものとなっている。毎年大きな盛り上がりを見せるメジャーのプレーオフ。今季も終盤戦に入り、ここからの順位の変動にも注目だ。

(「パ・リーグ インサイト」鈴木優)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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