NPBを代表する2人の“天才” 叩き出す異次元の数字…「.300」と「.400」の偉大さ

ソフトバンク・近藤健介(左)と柳田悠岐【写真:球団提供】
ソフトバンク・近藤健介(左)と柳田悠岐【写真:球団提供】

柳田と近藤、ともに通算出塁率が4割超の異次元数値

 ソフトバンクの近藤健介外野手と柳田悠岐外野手は今季、多くの試合で3番、4番を担っている。出塁率は、近藤がリーグトップの.427、柳田は同3位の.381と高水準だ。柳田は2015年から4年連続で最高出塁率のタイトルを獲得、近藤も2019年と2020年に同タイトルに輝いている。通算出塁率はともに4割を超え、卓越した選球眼を備えたコンビといえる。今回は、セイバーメトリクスの選球眼に関する指標を使って、両選手の凄みを分析した。(成績は9月3日終了時点)

 柳田は2010年のドラフト2位でソフトバンクに入団。2014年には全試合に出場して、自身初の打率3割を達成した。2015年には打率.363、34本塁打、32盗塁で「トリプルスリー」を達成し、首位打者とシーズンMVPにも輝く最高のシーズンを送った。2018年には2度目の首位打者、2020年には自身2度目のシーズンMVPに輝くなど、大黒柱としてチームを支えている。

 2020年まで7年連続で出塁率が4割を超え、通算出塁率も.410とハイレベル。打率と出塁率の差を示す「IsoD」も.097と、こちらも高水準にある。選球眼や忍耐力を示す「BB/K」は、2016年と2019年に1.000を上回り、2015年からの9年間で4度の.800超えを記録した。OPSも、2013年から11年連続で.800以上を継続中。2015年から2021年までは全て.900を超え、1.000を上回ったシーズンも4度存在した。

 真の長打力を示すとされる「ISO」も、2015年から8年連続で.210を上回り、通算も.229。ISOは.200を上回れば優秀とされる中で、これだけの水準を維持するのは驚異的といえる。本塁打1本打つまでにかかる打席数を示す「AB/HR」も、キャリア平均で18.87と、コンスタントに本塁打を放ち続けている点も長所の一つだ。

 柳田の指標の中でも特に話題に挙がりやすいのが「BABIP」の高さだ。BABIPは、本塁打を除いたインプレーの打球が安打になった割合を示す指標だが、運に左右される部分が多く、通常の選手であれば.300前後の数字に収束する傾向にある。柳田はプロ2年目から12年連続でBABIPが.300を超えており、通算も.364と非常にハイレベルとなっている。

近藤の特筆すべき選球眼、4割を超えなかったのは一度だけ

 近藤は2011年のドラフトで日本ハムから4位指名を受けてプロ入りした。入団当初は捕手だったが、2014年以降は野手として出場機会を増加させ、2015年には打率.326を残した。さらに、2017年には57試合の出場にとどまったが、231打席に立って打率.413を記録。幻の「4割打者」として大きな注目を集めた。2019年からは2年連続で最高出塁率のタイトルを獲得した。侍ジャパンの一員として、2021年の東京五輪の金メダル、2023年のWBCで世界一に貢献した。

 2015年から2022年までの8年間で、出塁率が.400を超えなかったのは一度だけ。とりわけ、打率.413を記録した2017年は.567と際立った数値を記録している。通算でも.414と柳田と同水準であり、極めて優れた選球眼を有している。

 IsoDは、2017年から7年連続で.100を超え、通算でも柳田を上回る.108を記録している。BB/Kは、2019年から4年連続で1.000以上を継続中。2017年には2.222という常識外れの数字を記録しており、通算BB/Kも1.050と非常に高い。

 OPSは、2015年以降の8年間で.800超えを7度記録し、打者としての総合力も高い。本塁打数が多いタイプではないが、毎年のように優秀なOPSを維持している点は特筆すべき点だ。BABIPも、2015年以降は9年連続で.300を超えており、通算の数字も.353と高い水準にあり、キャリアを通じて非常に高い。

 柳田と近藤は、通算成績で打率.300&出塁率.400超と、2つの大台をクリアしている。また、IsoD、BB/Kといった指標においても、優れた数字を記録している点も、両選手が卓越した選球眼を持つことを裏付けている。長年ハイレベルな成績を残し続けてきた両雄が、同僚としてコンビを組む2023年。残り試合での活躍にも注目だ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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