結束力高めた“小さなタッチ” 侍U-18代表、悲願の世界一を引き寄せた「完璧な連携」

世界一に輝いたU-18代表【写真:荒川祐史】
世界一に輝いたU-18代表【写真:荒川祐史】

試合前の準備段階から高めたチームの連携…主将を中心に一丸に

 絆を深めたのは、細かなコミュニケーションの積み重ねだった。8月31日~9月10日に台湾で開催された「第31回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」に出場した野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表は、決勝で地元・台湾を2-1の接戦で破り、悲願の世界一に輝いた。頂点を勝ち取った要因は、試合前の準備段階にもあった。選手間での連携を取るべく、ウォーミングアップ中に“独自のやりとり”を繰り返していた。

 強い日差しを浴びて汗を輝かせながら、球児たちはアップ中、1本ダッシュを終えるたびに仲間と軽く手を合わせてタッチを交わしていた。主将を務める小林隼翔内野手(広陵)は、この意図をコミュニケーションの一環だと明かしてくれた。直前まで甲子園の頂点に向けて別々のチームでしのぎを削ってきたメンバーたちだが、「コミュニケーションを取っているので、守備の連携だったりも完璧に近いくらいできています」とキッパリ語った。

 甲子園大会までは金属バットを使用していたが、W杯では木製バットを使用。「まだ木製バットに慣れていないので、守備からリズムを作っていくのがよいのかなと思います。粘り強い勝ち方ができればと、つなぐ野球を意識しています。個の力で戦うのではなく、チーム力で勝つと口にしてきました」。主将を中心に一丸となり、日本の野球を見せつけた。

 意思疎通の重要性はベンチ全員が語っていた。馬淵史郎監督も大会序盤、「チームとしてのコミュニケーションは取りながらやっている。戦える状態になった。前半戦で良いスタートを切らないと。短期決戦ですから。調子の良い選手を待つ時間はないのでね」と語り、必勝体勢を整えたのだった。

 過去最高は2位。悲願の世界一へ、フォア・ザ・チームの精神で駆け抜けた。

○著者プロフィール
真柴健(ましば・けん)1994年、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年、日刊スポーツ新聞社に入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間、爆速で「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年2月からFull-Count編集部へ。(真柴健 / Ken Mashiba)

(真柴健 / Ken Mashiba)

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