急成長の21歳&23歳右腕、中軸を担った26歳 顕著だった若手の台頭…オリックスVの歩み
盤石の投手陣…山本由伸は3年連続“投手4冠”も射程圏
オリックスは9月20日にパ・リーグ3連覇を達成した。2021年と2022年は優勝へのマジックナンバーが点灯しないままの優勝だったが、今季は8月にマジックを点灯させ、独走で歓喜のゴールテープを切った。開幕前は“大本命”とはみなされてはいなかった。吉田正尚外野手のメジャー挑戦、昨季は0ゲーム差の2位だったソフトバンクが大型補強を敢行したことが重なり、苦戦を予想する声も少なからず存在した。今回は3連覇を果たしたチームの歩みを、あらためて振り返る(成績は9月20日終了時点)。
先発陣では、山本由伸投手は今季も圧倒的な投球を続け、9月9日に2年連続のノーヒットノーランを達成。3年連続の“投手4冠”も射程圏内に捉えるなどチームをけん引した。宮城大弥投手も3年連続2桁勝利を達成。勝ちを計算できる左右の両輪の存在は安定した戦いぶりにもつながっていた。左腕の山崎福也投手も安定感のある投球で自己最多の9勝を記録。山岡泰輔投手はシーズン途中にリリーフに配置転換。セットアッパーとして新境地を開拓し、これまでとは異なる役割で優勝に貢献した。
若手の台頭も多く見られた。プロ初登板で開幕投手に抜擢された高卒3年目、21歳の山下舜平大投手は、8月下旬に故障離脱するまでに9勝、防御率1.61。育成出身の6年目23歳、東晃平投手は中継ぎを務めた開幕当初は結果を残せなかったが、7月30日に先発として1軍に復帰してからは7試合で6勝0敗、防御率1.71と大きなインパクトを残した。
リリーフでは、山崎颯一郎投手がチームトップの52登板で27ホールド、防御率1.05、奪三振率10.45。チーム事情に応じてのクローザーも務めた。阿部翔太投手と宇田川優希投手は今季前半戦では安定感を欠く投球が目立ったが徐々に状態を上げ、防御率は揃って1点台に向上した。さらに2年目の小木田敦也投手が、今季は登板機会を昨年の倍以上に増加させ、防御率も改善。優勝を決めた9月20日のロッテ戦では2回1/3を無失点に抑えて勝利投手になった。
クローザーの平野佳寿投手は体調不良などによる離脱もありながら26セーブを挙げ、防御率1.22の安定感。日米通算250セーブまであと3つに迫っている。同じく大ベテランの比嘉幹貴投手も31試合で防御率2.25。さらに、14年目の山田修義投手が防御率1.21を記録した。2021年の優勝に貢献した吉田凌投手も防御率2.93と復調を果たした。
新加入の森友哉が持ち味を発揮、頓宮は打率.307をマーク
野手では、中川圭太内野手がチーム最多の126試合に出場し、2年連続規定打席に到達。自身初の2桁本塁打、得点圏打率.336と勝負強さも発揮した。紅林弘太郎内野手は課題の打撃面で長足の進歩を見せた。宗佑磨内野手は三塁のレギュラーとして攻守に奮闘、杉本裕太郎外野手も選手も持ち前のパワーを随所で発揮した。
故障離脱してしまったが、5年目26歳の頓宮裕真捕手は打率.307、16本塁打、OPS.862をマーク。中軸を担う強打者へ飛躍を遂げた。育成出身のルーキー・茶野篤政外野手もシュアな打撃を披露。1年目から91試合に出場した。夏場には、同じく育成選手として入団したレアンドロ・セデーニョ内野手が活躍した。
新加入の森友哉捕手がもたらしたインパクトも特大だった。故障による2度の離脱がありながら打率.291、16本塁打、OPS.878を記録。若月健矢捕手との共存もスムーズに進み、優勝に直結する的確な補強となった。
リーグトップのチーム防御率2.63が、オリックス投手陣の盤石ぶりを端的に物語る。チーム本塁打数もリーグ最下位だった昨季の89本から、13試合を残した時点でリーグトップタイの99本へ増加した。抜群の層を誇る投手と、球界屈指の好打者が抜けた穴を全員でカバーした野手。過去2年間を上回る完成度を誇った今季の戦いぶりは、チーム力の勝利と形容できるものだった。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)