急成長で初タイトル…26歳右腕は何が変わった? CS進出立役者の“最強数値”「27.2」
広島・島内の自身初となる最優秀中継ぎ投手のタイトルが確定
今季、セットアッパーとして開幕からフル回転の活躍を続けている広島の島内颯太郎投手。41ホールドポイント(HP)をマークしており、38HPの清水昇投手(ヤクルト)が残り試合で抜く可能性が消滅したため、自身初となる最優秀中継ぎ投手のタイトルが確定した。昨季は22登板だったが、今季は12球団最多の61登板。5年ぶりのクライマックスシリーズ進出を決めたチームに貢献した。(記録は29日現在)
島内は九州共立大から2018年ドラフト2位で入団。3年目の2021年には51試合を投げ、後半戦は勝ち試合での継投を担うことも増えるなどブレイクを果たしたが、4年目の昨季は2軍生活が長く22登板どまり。しかし今季はここまで61登板で2勝3敗41HP、2セーブ、防御率2.35と、1軍ブルペンに欠かせない存在となっている。
過去4年間で通算27HPだったことを考えると、今季の飛躍は一目瞭然だが、苦悩の4年目を経て何が改善されたのか。セイバーメトリクスを用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータをもとに昨年の数値と比較すると、リリーフとして欠かせない項目が大きく改善されている。
まず光るのは高い奪三振率と安定感だ。「K%」(奪三振割合)は、30回以上投げた投手では今季チームトップの27.2%であり、昨季の22.0%から良化。「BB%」(与四球割合)も今季は7.3%で、昨季の12.1%から大幅に改善されている。また、勝利期待値の増減を示す「WPA」は昨季-1.35→今季2.35とプラス数値となり、勝利期待値を上昇させた合計を示す「WPA+」も1.45→7.74と大幅アップ。セットアッパーとして試合の流れを左右する場面で数多く登板し、安定した結果を残しているのがよくわかる。
さらに、持ち球の球種の進化も見てとれる。島内の投球を支える球種はストレートとチェンジアップ。ストレート100球当たりの失点増減を表す「wFA/C」は昨季-2.48→今季0.56、チェンジアップ100球当たりの失点増減を表す「wCH/C」は-3.67→1.21。これらの数値は、プラスになればなるほど「その球種を投じた結果が良かった」ことを示すが、武器となる2球種にも成長の跡が見てとれる。
最優秀中継ぎのタイトル獲得は、球団初の快挙でもあった。それだけ、Aクラスに返り咲いたチームにとって島内が果たしてきた役割は大きい。10月以降の負けられない試合が続く中で、どのような活躍を見せてくれるか注目したい。
(Full-Count編集部)