ロッテがCSで痛感した“15.5差” 安田ら奮闘も…オリ撃破に求められる「本物の選手」
ロッテはCS敗退も…新井宏昌氏が解説「下馬票が低い中でシーズン2位は大健闘」
■オリックス 3ー2 ロッテ(21日・京セラドーム)
パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージはオリックスがアドバンテージを含め4勝1敗でロッテを下し、3年連続の日本シリーズ進出を決めた。21日の第4戦(京セラドーム)は3-2でオリックスが勝利。野球評論家の新井宏昌氏は「他球団がオリックスを追随するには若手の台頭が必要」と総括した。
奇跡は2度起きなかった。CSファーストステージを大逆転のサヨナラ勝ちで突破したロッテの勢いはファイナルステージでも発揮された。だが、終わってみればリーグ王者のオリックスの前に1勝するのがやっと。先発陣も佐々木朗、西野、小島の3本柱も投入することができなかった。
苦しい投手事情の中でも最後まで痺れる試合を見せたロッテに、新井氏は「本当に最後まで頑張った。下馬評が低い中でシーズン2位は大健闘。ポストシーズンでもファンを喜ばせる素晴らしい試合をたくさん見せてくれた」と労った。だが、オリックスとの力の差は「大きかった」とも口にする。
レギュラーシーズンはオリックスが2位ロッテに15.5差をつける独走で優勝。パ・リーグでは21世紀初のリーグ3連覇を果たしているが、過去2年間は僅差でのリーグ優勝も一気に実力の差は明確となった。
ロッテは藤原、山口、安田らポテンシャルの高い選手が揃う
オリックスには3年連続「投手4冠」の山本、宮城、山崎福ら盤石の投手陣を誇るが、今年は山下、東といった若手が次々に台頭。野手でも首位打者を獲った頓宮ら“新戦力”が生まれる環境が揃っている。ロッテもポストシーズンでは安田らの活躍は目立ったが「彼らがシーズンを通してベンチから外せない選手、本物の選手になることが必要」と指摘する。
第4戦の8回には藤原が右翼席へ豪快なアーチを描き、レギュラーシーズンでは4番にも座った山口らポテンシャルを秘めた選手は数多くいる。吉井監督は今季、我慢強く若手選手を起用し続けた。この経験を選手たちが、どのように捉え来シーズンに向け調整していくかが重要になるという。
「ポストシーズンでみせた劇的な勝利、先発が足りない中でのブルペンデー。故障者などあり、万全なチーム状態ではなかったからこそチャンスを貰えた選手がいる。これはロッテ以外の球団にも言えること。経験を生かすことができるかどうか」
オリックスは山本のメジャー移籍が濃厚で、その穴を埋めるのは容易なことではない。来季は死に物狂いで他球団は“ストップ・ザ・オリックス”を掲げることになる。「ソフトバンクは千賀が抜けたことで投手陣が一気に崩れた。西武にしても4番の山川が序盤で抜けることもあった。盛り返すために何が必要か。黙ってはいないでしょう」と新井氏。オリックスは28日から阪神と日本シリーズに挑むが、他球団の来シーズンに向けた戦いはすでに始まっている。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)