【小島啓民の目】野球におけるデータ活用 高校野球は精度低下、プロの醍醐味は“騙し合い”
データの蓄積とその後に起こる“騙し合い”
プロ野球は後半戦へと突入しました。セ・リーグは大混戦で、少し連勝が続くと一気に突っ走るチームが出てくる感じもしますが、前半戦を見る限り、どのチームも投手力の層が似通っており、決め手に欠く感は否めませんので、最後までこの混戦が続きそうな気がしますね。
パ・リーグは相変わらずソフトバンクが安定しています。攻撃陣の破壊力があり、若い投手が少々崩れかかっても勝利につなげる結果となり、逆に若手の投手が攻めの投球ができるという相乗効果が生まれています。本当に安定している良いチームであると思います。
前半戦の戦いで、新人を含めた新しい戦力のデータが大方揃ってきたという状況でしょうから、手間取っていた外国人ら新戦力への対処はこれから一段と厳しくなってくるでしょうね。
特にルーキー投手においては、データが蓄積された状態では打者も読みが働いてきますので、前半戦みたい簡単に抑えるなどというシーンは少なくなってくるでしょう。年間に何度も対戦を繰り返す度に、当然、その選手の強み、弱みはデータとして明らかになっていきます。
一方で、そのデータを逆手にとった戦術を立てるなどの騙し合いが、毎打席、バッテリーと打者の間で繰り広げられていきます。また、打球方向の傾向などは、球種ごとに瞬時にわかるデータ解析ソフトなどが販売され丸裸の状態にされてしまいますので、打者も大変となります。
状況に応じてという前提となるのですが「どう守るのか」という守備隊形は、どの方向に打球が多く飛ぶのかというような情報があった方が良いに決まっています。王さんが打席に立った際に「王シフト」なるものが敷かれたように、傾向を見て対策を立てるシフトのようなものが出来上がるのも、情報の多さ所以です。
では、各地で予選が開催されている高校野球に代表されるアマチュア野球では……。数試合の対戦相手の情報を経て、数多くの判断をしていかねばなりません。
当然、データ数が少ないわけでプロ野球のデータの精度よりは、かなり低いものとなります。更に高校野球の場合は、技術的にも安定しておらず、更に精神的な側面がかなりプレーに影響を及ぼすため、データの信憑性はかなり疑わしいしものにはなります。