「該当者なし」に139票…パの遊撃手に名手はいなかった? GG賞投票への“疑問”
5年以上のプロ野球取材歴を持つ新聞社やテレビ局などの記者による投票
守備の名手に贈られる「第52回三井ゴールデン・グラブ賞」が10日に発表された。阪神の近本光司外野手や西武の源田壮亮内野手ら、両リーグの18選手が受賞。一方で、「該当者なし」という投票も目立った。ハイレベルな争いとなったパ・リーグ遊撃手部門でも1票が入るなど、139票もの該当者なしがあった。
投手は投球回数143回(=規定投球回)を満たすか登板47試合以上、野手は各ポジションで71試合以上に出場した選手が対象。事前に発表されている有資格選手の中から、5年以上のプロ野球取材歴を持つ新聞社やテレビ局などの記者による投票で決定する。該当者なしが過半数を超えた部門は選出されない。
過去には、2010年のセ・リーグ一塁手部門で、260票中140票が該当者なしに入り、誰も選出されない珍事が起こった。今回はセ外野手の28票が最多。セ三塁手に25票、パ外野手に22票、セ遊撃手に13票、パ一塁手とパ二塁手に11票、セ捕手とパ三塁手に10票、セ一塁手に7票、パ捕手とパ遊撃手にも1票が入った。
その中でも特に気になるのが、パ遊撃手部門の1票だ。セイバーメトリクスの観点からプロ野球の分析を行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータをもとに、守備全般の貢献度を表す「UZR」で見てみる。源田は「8.6」と、イメージ通りの好成績。その源田に1票差に迫ったオリックスの紅林弘太郎内野手以外にも、「7.7」だった楽天の村林一輝内野手ら名手が揃っていた。
守備の評価は確かに難しい。投票するのは生身の人間だけに、どうしても打撃のイメージやチームの強さが影響してくるのは仕方のない面もある。それでも、数字の面での名手が揃っていたはずのポジションでの「該当者なし」。ファンが見ても疑問に思ってしまうのは、やむを得ないのではないだろうか。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。