“不振”のジンクスを払拭したWBC戦士たち 6年前とは激変…真価発揮した栄光の2023年
山本由伸は3年連続投手4冠、松井裕樹は最多セーブのタイトル獲得
野球日本代表「侍ジャパン」は今春の「第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」を制覇した。メンバーにはパ・リーグ球団に在籍する選手も13人いた。今回はWBCに出場した選手が、同大会前後のレギュラーシーズンで残した成績を紹介する。
日本ハム・伊藤大海投手は今季の防御率が3.46。前年の防御率2.95よりも数字を落としたが。奪三振率は6.48から7.87、与四球率は2.83から2.41と改善。K/BBは2.29から3.27と大きく良化していた。楽天・松井裕樹投手はWBCでは1登板も、シーズンでは59登板で防御率1.57。39セーブで自身3度目の最多セーブに輝いた。
ロッテ・佐々木朗希投手は奪三振率13.35、K/BB7.94と驚異的な数字を残した。指のマメの影響で離脱を経験しながら、7月24日の時点で防御率と奪三振の2部門でリーグトップに立っていた。しかし、同日のソフトバンク戦でわき腹を痛めて長期離脱し、規定投球回到達は果たせず。2度の離脱が惜しまれるシーズンとなった。
オリックス・山本由伸投手は16勝、奪三振率9.27、K/BB6.04、防御率1.21で、3年連続“投手4冠”という前人未到の快挙を達成し、リーグ3連覇を果たしたチームを牽引した。宮城大弥投手は3年連続で規定投球回到達と2桁勝利をマーク。しかも防御率は前年の3.16から2.27へと1点近く改善させ、与四球率1.90、K/BB3.94、WHIP0.94と投球内容も良化させた。
宇田川優希投手は序盤から調子が上がらず、6月の月間防御率9.00だった。しかし、7月の防御率は0.84、8月は1.50、9月は1.08と、夏場以降は好投を継続。46試合で20ホールド、2セーブ、防御率1.77を記録した。山崎颯一郎投手は勝ちパターンとして、53試合で27ホールド、9セーブを記録。9月20日の時点で防御率1.05と抜群の安定感を誇った。
源田壮亮は復帰遅れるもGG賞、近藤健介は2冠王
野手では西武・源田壮亮内野手がWBCで負った故障の影響で5月26日まで出場できなかった。約2か月の離脱がありながら、1年目から7年連続の100試合出場を達成。6年連続でゴールデン・グラブ賞を受賞するなど、今季もチームの核として活躍した。ソフトバンク・近藤健介外野手は移籍1年目の今季、自身初の全試合出場を達成。26本塁打、87打点、OPS.959で、本塁打王と打点王の2冠に輝いた。
甲斐拓也捕手は前年を上回る139試合に出場し、2桁本塁打を記録。昨年は打率.180、OPS.498と打撃不振に陥っていたが、今季は打率.202、OPS.602と向上させた。牧原大成内野手は今季も二塁と中堅を中心に、ユーティリティとして奮闘。打撃面では2022年の打率.301から.259に数字を落とし、故障の影響で8月30日を最後に戦列を離れた。
周東佑京内野手は自己最多の114試合に出場し、打率.241。メキシコとのWBC準決勝で披露した圧倒的な脚力はシーズンでも発揮され、36盗塁で3年ぶり2度目の盗塁王を獲得した。守備でも内外野の3ポジションをこなした。
投手では山本、松井、宮城、宇田川、山崎颯が前年以上の成績を残した。野手では近藤が2冠王に輝き、甲斐も打撃面で復調の兆しを見せた。周東も自身2度目の盗塁王のタイトルを獲得した。一方で、WBCで右手小指を骨折した源田をはじめ、佐々木朗と牧原大もシーズン中に故障で長期離脱を余儀なくされた。
それでも、17試合出場で0本塁打に終わった西武・山川穂高内野手を除けば、大きく成績を落とした選手はいなかった。過去には2017年のロッテ・石川歩投手や日本ハム・大野奨太捕手のように、WBC出場を境に大不振に陥ってしまった選手も存在したなかで、2023年の優勝メンバーの多くが継続して結果を残している点は頼もしい限りだ。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)