「パパは横浜」残留に愛娘も大喜び 仲間を避けるも…迷う気持ちを払拭したエースの言葉
DeNAの戸柱恭孝はFA権行使せず4年契約、大和から「結局は自分の気持ちが1番」
国内FA権を行使せず、来季からの4年契約でDeNA残留を決断した戸柱恭孝捕手がFull-Countのインタビューに応じ、決断への背中を押したチームメートとのやりとりを明かした。
DeNAはレギュラーシーズンを3位で終え、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージで広島に敗退。オフを迎えると戸柱は“熟考モード”に入った。感情に決断が影響されぬよう、仲間との接触を極力避けた。自主トレは午前中の早い時間に球団施設を訪れて、同僚が来る前に球場を後にするように努めた。
その中で複数回、練習場で居合わせたのが、このオフに36歳となったベテランの大和内野手だった。同じ鹿児島出身で、大和は2017年シーズン後にフリーエージェント(FA)権を行使して阪神から移籍してきた“経験者”だ。
「シーズン中は大和さんもプレーに集中しないといけないので」と戸柱も遠慮していたが、「みんながいない横浜スタジアムで、大和さんにはよく会ったんですよ。その時に『トバ、結局は自分の気持ちが1番だよ』と言われたんです。本当にそうだよなと」。同郷の先輩の言葉が刺さった。
自身の決断に背中を押してくれた後輩もいる。駒大の3学年後輩でDeNAには2015年ドラフトで同期入団となった今永昇太投手だ。数回食事を重ね、言われたのが「トバさんに間違った道はない。トバさんが出した答えが正解になるので大丈夫です」。よく知る間柄だからこその言葉に「めっちゃいいこと言うやん、って思いました。後輩からそんなことを言われると思っていなかったので」と感激した。
今永自身はポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦を表明している。DeNA在籍中に「優勝できなかったのが心残りです」と会うたびに話していたという。「1番彼とバッテリーを組んでいた」と特別な思い入れを持つ戸柱は「彼はできなかったので、来年(優勝を)達成して昇太に『お前がいなくなったから達成できた』と言おうかなと思います」と笑った。
ファンからの残留求める声や感謝を伝えられ「言葉の力を感じた」
街中で会ったファンからも「残留してください」「来年も横浜で」と言う声を何度もかけられたと言う。「ファンの声が温かったです。そこは意外というか嬉しかったです」。残留表明後に開催された11月25日のファンフェスティバルでも「残留ありがとう」「来年も頑張りましょう」と感謝され、「言葉の力を感じさせてもらいました」と奮い立った。
何よりも“世界一”の戸柱恭孝ファンが残留を喜んだ。決断を伝えると7歳の長女はもちろん、4歳の次女も「青が好き。パパは横浜」と大喜びしたという。「子どもは本当に正直だと思います。残ることにして良かったと思いました。2歳の息子はさすがにまだ分かりませんが」。
「このチームで優勝したい思いが一番強い。チームメートも好きです。三浦監督もずっと、どんな状況でも絶対に優勝しようと言っている。なんとか横浜で優勝したい気持ちです」。1998年以来となるリーグ優勝、日本一へ向け、戸柱は全力でチームに貢献する。
(湯浅大 / Dai Yuasa)