DeNA19歳逸材は「無駄な部分がなくなった」 遂げる急成長…正捕手へ残された課題
DeNAの高卒2年目・松尾汐恩が1軍キャンプで猛アピール中
球界で貴重な存在になりつつある“打てる捕手”。DeNAの高卒2年目・松尾汐恩捕手には、大きな期待が寄せられている。今キャンプでもオープン戦で豪快なアーチを放つなど猛アピール。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は「スローイングの技術は各段に上がっている」と、捕手目線で評価する。
松尾は名門・大阪桐蔭高から2022年ドラフト1位で入団。昨季は1軍登録されるも出場機会がなかったが、イースタン・リーグで104試合に出場し打率.277、7本塁打の好成績を残した。今キャンプでも2年連続1軍メンバーに抜擢され、熾烈な捕手争いを繰り広げている。
24日の日本ハムとのオープン戦では途中出場ながら左翼席へ特大の一発を放った逸材。野口氏は「今の球界を見渡しても打てる捕手は希少価値がある。打撃だけを考えれば、有利なところにいるのは間違いない。だからこそ捕手として大きく育ってほしい」と期待を口にした。
野口氏は高卒でヤクルトに入団、古田敦也氏に次ぐ2番手捕手として経験を積み、その後は日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)でプレーした。1軍で捕手として活躍するために必要な要素を「技術的なスキルはもちろんだが。周りをしっかり見られる目。相手も味方もしっかり見られることが必要。そこが感性に繋がる。一番は洞察力です」と断言する。
昨年と比べ「無駄な部分がなくなった。素早く強い球がいく」
チームの捕手陣には侍ジャパンに初選出された25歳の山本祐大、実績ある戸柱恭孝、伊藤光らがいる。ファンにとってはここまで結果を残す、高卒2年目の新鋭に夢と希望を持ちたくなるだろうが、野口氏の見解は少し違う。
「昨年、多くのマスクを被った山本と比較するのはダメ。まだ、経験値と捕手としての能力は山本の方が上です。まだまだやることは沢山あります。怪我での補充なら分かりますが、中途半端に3番手で置くなら、2軍で全試合出たほうが効果はあるように思えます」
もちろん、能力の高さは認めている。1年目の昨年は「スローイングのモーションがやや大きかった。高卒の選手は肩が元気で、強さをアピールしたがる傾向があります」と分析。今キャンプを視察した際には「シートノックのボール回しをみてもスムーズ。去年に比べ無駄な部分がなくなった。素早く強い球がいくようになりました」と指摘する。
ここから開幕までの1か月は実戦がメーンになる。「着実にステップアップはしています。結果を残しているだけにチームとしては“嬉しい悩み”になるでしょうか。どのような起用法になるのか楽しみですね」と野口氏。球界を代表する捕手になる素質を持つ背番号「5」に期待は高まるばかりだ。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)