10戦9敗、最下位独走でも…阪神が「最も優勝に近い」 専門家が見たゆるぎない“姿勢”

阪神・岡田彰布監督【写真:小池義弘】
阪神・岡田彰布監督【写真:小池義弘】

飯田哲也氏が分析…OP戦の勝敗は「関係ありません」

 阪神は13日、ZOZOマリンスタジアムで行われたロッテ戦に6-1で快勝し、今季オープン戦10試合目にして初勝利を挙げた。それでも1勝9敗、勝率1割でオープン戦最下位であることに変わりはない。昨季日本一に輝いた猛虎が、ここまで低迷しているのはなぜか。今月29日開幕のレギュラーシーズンへ向けて不安はないのか。現役時代にゴールデン・グラブ賞7度の名外野手として鳴らした野球評論家・飯田哲也氏が分析した。

 この日の阪神は、昨季10勝の伊藤将司投手が先発して5回2安打無失点に封じ、昨季MVP&新人王の村上頌樹投手も2番手で4回3安打1失点に抑える豪華リレー。打っても近本光司外野手が3回に先制適時三塁打を放ったのを手始めに、11安打で6点を奪った。

 飯田氏は「そもそもオープン戦というものは、開幕へ向けて調整している選手と、レギュラーや1軍枠を懸けて勝負している選手が入り混じっていますし、監督も選手や戦術を試すことを優先し、“勝つための采配”をしていませんから、勝敗は関係ありません」と断言する。

「阪神の場合は、一番の強みである先発投手陣の層が相変わらず圧倒的に厚い。伊藤将、村上の他にも、開幕投手に決まった青柳(晃洋)や西勇輝、才木(浩人)らがそろっていて揺るぎない。今季も優勝に最も近いチームであることに変わりはないと思います」と分析する。

 戦いぶりにも変化はない。阪神打線は昨季、チーム打率はリーグ3位の.247、チーム本塁打に至っては同5位の84本だった。それでいてリーグトップの555得点を挙げることができた要因の1つは、リーグトップの494四球をもぎ取った選球眼にあった。飯田氏はこの日も「各打者から相変わらず、簡単に三振せずに粘る姿勢がうかがえました」と評した。

不安材料は「あえて言えば、レギュラーと控えの差が大きい」

 13日現在、4番の大山悠輔内野手がオープン戦打率.188、5番の佐藤輝明内野手が同.143と低迷しているのは少し気がかりだが、佐藤輝は25歳の誕生日のこの日、9回2死満塁での第5打席に、ロッテの守護神・益田直也投手から中前へ2点適時打を放ち勝負強さも見せた。飯田氏は「2人とも開幕までの残り2週間あまりで調整する実力はあるので、注目していきたい」と語った。

 オープン戦最下位でも大きな心配はなさそうだが、そんな阪神に“死角”はないのか。飯田氏は「あえて言えば、レギュラーと控えの差が大きいこと。特に野手陣はレギュラーに故障者が出た場合は、苦しくなりそうです」と指摘する。

 この日のスタメンは、1番・近本、2番・中野拓夢内野手、3番シェルドン・ノイジー外野手、4番・大山、5番・佐藤輝、6番・森下翔太外野手、7番ヨハン・ミエセス外野手、8番・木浪聖也内野手、9番・坂本誠志郎捕手。DHで先発したミエセスの代わりに投手が入って9番に下がり、木浪と坂本が1つずつ打順を上げれば、そのまま開幕オーダーになりそうな布陣だ。飯田氏も「現状で言えば当面、打順はともかく、スタメン野手の顔ぶれが変わる可能性があるのは遊撃手と捕手くらいでしょう」と見ている。

 そういう意味では、この日途中出場した20歳の前川右京外野手、21歳の高寺望夢内野手、25歳の小野寺暖外野手ら若手に、レギュラー陣を脅かすくらいの成長を期待したいところだ。

 岡田彰布監督の15年ぶり指揮官復帰のシーズンに、日本一に輝いた阪神。今季はどんな進化の形を見せてくれるだろうか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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