侍選出の22歳、年々上昇する打率の秘密　“打てる遊撃手”へ…リーグNo.1の「.273」

オリックス・紅林の打率が上昇している理由

　パ・リーグ3連覇を達成したオリックスでショートのレギュラーを務める紅林弘太郎内野手。高卒2年目の2021年に定位置をつかむと、3年連続で規定打席に到達。センターラインの1人としてチームを支えている。

　昨季はキャリアハイの122安打を放ち、リーグ6位の打率.275をマーク。打撃面で成長を示すシーズンとなったが、兆候は2022年から現れている。それが三振の減少で、2021年と比べて三振割合は大きく低下。昨季もリーグ平均の19.2％を大きく下回る数値を記録しており、これが打率アップとなった理由のひとつと考えられる。

　今回は三振数の減少に着目し、2ストライク時の打席内アプローチを中心にバッティングの変化について探っていく。まず初めに、2ストライク時におけるゾーン別スイング率の年次推移だ。1軍に定着した2021年はカウントを問わず積極的にスイングを仕掛けるスタイルだった。2ストライク時もその傾向は同様で、ボールゾーンスイング率はリーグ平均より約16ポイント高い58.6％だった。

　ところが、翌年以降は積極性を抑えるようになり、2023年にはスイング率全般がリーグ平均と同水準にまで低下。2ストライク時のボールゾーンスイング率も45.8％まで下がっている。一方、同じ2ストライク時であっても、ストライクゾーンの投球に対しては高いスイング率を維持しており、追い込まれた状況でのゾーンの見極めが改善している。

　また、2ストライク時におけるコンタクト率を見ると、数値が良化しており、ここ2年はリーグ平均を上回っている。シンプルにコンタクト能力が向上したということもあるだろうが、前述のとおりゾーンの見極めが改善し、よりバットで捉えやすいストライクゾーンのボールを選んでスイングできるようになったことも、コンタクト率上昇の一因だろう。これらの打席内アプローチの改善が三振割合の低下につながったと考えられる。

　2ストライクに追い込まれた状況では三振のリスクがある分だけ打率は低くなりやすく、昨季の2ストライク時の打率はリーグ平均.178だったが、紅林は.273と好成績を記録。規定打席到達者の中でリーグトップの成績であり、追い込まれた後のアプローチが改善し、三振が減少したことによる成果といえる。

　以上のように、打撃の確実性という面で確かな成長を見せた紅林だが、自身の理想は「3番・ショート」とたびたび口にしており、現状の成績にはまだ満足していない。3月に行われた「カーネクスト　侍ジャパンシリーズ2024」のメンバーに選出されるなど、将来は日本を代表するショートになることも期待される。

（「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部）

（記事提供：パ・リーグ インサイト）