ハムの“未完の大砲”が覚醒か 課題克服で問われる真価…ライバルは同期の侍メンバー
日本ハム・野村は昨季はキャリアハイの成績を残した
日本ハムへの入団当初から将来の中軸候補として期待され、ステップアップを続けている野村佑希内野手。5年目の昨季は開幕4番を務め、4月14日にはエスコンフィールドでのチーム第1号本塁打を記録した。
夏以降は調子を落とした時期もあったが、最終的には自己最多の125試合に出場。自身初めて規定打席をクリアし、いずれもキャリアハイとなる13本塁打、43打点の成績を残した。今回は、野村の昨季のデータを振り返りつつ、今季の活躍を占っていく。
昨季はストレートに対して打率.304をマークした。パ・リーグの規定打席到達者22人の中で4位だった。2022年のストレート打率も3割を超えており、直球に強い印象を持つファンも少なくないだろう。
しかし変化球に対しては同.195と、22人中ワーストの数字だった。打撃好調だった8月には変化球打率.305をマークしたものの、それ以外はほとんどの月で1割台に低迷するなど、対応に苦しみ続けた。
変化球に対する打撃をカウント別で見てみると、1ストライクまでは打率.345をマークしながら、追い込まれると同1割未満まで下がる。変化球自体が苦手とはいえなさそうだが、トータルでは振るわない数字となった。
課題だった追い込まれてからの変化球への対応
追い込まれた状況での変化球に対して、どうアプローチしていたのか。目に留まるのは、コンタクト率がリーグ平均よりも低いことだ。特にボールゾーンでは43%と、打ちにいった場合の6割近くが空振り三振になってしまったことは、打率低迷の大きな要因といえる。
一方で、ボールゾーンのスイング率が低い点にも注目したい。空振りが多いといっても、むやみにボール球を追いかけているわけではなく、手を出すかどうかの見極めはできている。昨季の野村の四球割合は8.9%でリーグ平均を上回っている。今後は変化球をスイングした際の精度を高めていけば、より簡単には打ち取られないバッターになるはずだ。
今季のオープン戦では、野村は変化球に対して23打数8安打。3月16日の巨人戦では、1ボール2ストライクからグリフィンのナックルカーブをはじき返すなど、8本中4本が追い込まれた状況からのヒットだった。昨季の課題を克服しつつある。
チームでは昨季、ドラフト同期の万波中正外野手が終盤までタイトル争いを繰り広げるなど飛躍のシーズンを送った。その万波に4番を譲るなど、悔しい経験もした。今季は安定したバッティングを見せ、主砲の座を守り抜きたいところだ。花咲徳栄高からドラフト2位指名で入団した23歳の若きスラッガーの進化に、注目していきたい。
※文章、表中の数字はすべて2024年3月25日終了時点
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)