ニュアンスの違いも…大谷1号球の騒動 米記者の投稿が発端、元助っ人語る“言語の壁”

ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】
ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】

大谷の言葉をめぐって物議…元ハム助っ人「一番表現したいことが伝わらないことも」

 ドジャース・大谷翔平投手の移籍後1号の記念球をめぐって、米メディアによる記事が物議をかもしている。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のサム・ブラム記者が自身のX(旧ツイッター)に「オオタニは『ファンと話をして取り戻すことができた』といったが、オオタニはファンに会ったことはなかった」と投稿したことが発端となった。

 この日、待望の一発は7回に飛び出した。2死走者なしで迎えた第4打席。左腕テイラー・ロジャースのシンカーを右中間へ運んだ。その後、1号球はキャッチしたアンバー・ローマンさんから大谷の手元に戻ってきたという。

 試合後、大谷は「戻ってファンの人と話して、頂けるということだったので」とボールについて説明。通訳のウィル・アイアトンさんは「I was able to talk to the fan(ファンと話すことができた). And I was able to get it back(ボールを取り戻すことができた).」と訳していた。この文言をきっかけに、ブラム記者がローマンさんに問うと、「会っていない」と返ってきたと綴った。

 3月20日付でメジャー移籍から大谷の通訳を務めていた水原一平氏が違法賭博に関与し、大谷の資金を盗用した疑いで契約解除となった。アイアトン氏はかつて前田健太投手(現タイガース)の通訳を務めていたとはいえ、今の本職はデータ分析。ブランクもある中、大量の報道陣の前。さらに大谷自身も誰が話したかを明確に伝えなかったことで細かなニュアンスに違いが生じた。

 かつて、昨季まで日本ハムで5年間プレーしていた王柏融外野手も、通訳を介する難しさを明かしていたことがある。日本ハムでは5年間で打率.235、15本塁打、97打点。取材で「通訳が入っていると自分が一番表現したいことが伝わらないこともありました」と話していた。

「ジ・アスレチック」の記事ではキャッチしたファンは大谷に会えなかったことではなく、記念球をめぐる球団の対応に失望していたようだったが……。待ちに待った一発にもかかわらず、細かなニュアンスの違いがことをさらに大きくしてしまった。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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