元NPB選手が躍動…日本投手対決も ピッチクロックもさっそく導入、台湾プロ野球
リーグきっての人気球団「中信兄弟」の1軍監督に就任した平野恵一氏
黎明期から日本人指導者が活躍してきた台湾プロ野球。2020年の後期シーズンから公式球の反発係数が見直され、「打高投低」が解消した。守備や走塁、戦術がより重視されるようになり、投手育成も課題とされるなかで、近年は日本人指導者が再び増加している。
昨季は全6球団でフルタイムの日本人指導者が誕生。特に台湾王者に輝いた味全ドラゴンズの高須洋介1軍打撃コーチや、チームを前期優勝に導いた統一ライオンズの玉木朋孝内野守備コーチらがクローズアップされた。今オフもその流れは進み、日本人指導者は6球団で計11人に。さらに、楽天の古久保健二監督、中信兄弟の平野恵一監督と、内部昇格で日本人監督も2人誕生した。
CPBLの日本人監督は、2012年6月から2013年8月まで統一の監督をつとめた中島輝士氏以来10年ぶり。開幕時に2球団以上で日本人が監督を務めるのは、大石弥太郎氏が統一を、宅和本司氏が三商タイガースを率いた1996年以来、実に28年ぶりの出来事だった。
日本人選手も奮闘している。台鋼は中日、横浜DeNAでプレーした笠原祥太郎投手と元BCリーグ埼玉武蔵の小野寺賢人投手、楽天は元BCリーグ信濃の鈴木駿輔投手と、今季は開幕のタイミングで、3人の日本人投手が支配下登録された。
4月10日の楽天対台鋼では、鈴木と小野寺による日本人先発投手対決が実現した。CPBLで日本人投手の先発対決は2009年5月7日、兄弟エレファンツ(当時)の小林亮寛と興農ブルズ(当時)の正田樹以来、実に15年ぶりであった。小野寺は6回2失点(自責1)と好投も白星はつかず、鈴木も5回2失点にまとめた。
CPBLの外国人選手は、支配下登録を抹消されると、以降そのシーズンは1軍でプレーできないという厳しい規則がある。そのため、開幕時に支配下登録された日本人投手3人は、1軍、2軍に関わらず、1試合ごとの投球内容が非常に重要となる。彼らが、厳しいサバイバルを勝ち抜いてくれることを期待したい。
試合時間短縮を目的とし、ピッチクロックと延長タイブレーク制を採用したことも今季の大きなトピックだ。
CPBL版のピッチクロックは、投手について「ボールを受け取ってから、走者がいない場合は20秒以内、走者がいる場合は25秒以内に投球動作に入らなければならない」と規定。捕手については「残り9秒までにキャッチャーボックスに入らなければならない」と定められた。これらに違反した場合、自動的に1ボールが追加される仕組みだ。
打者については、「残り8秒までに打席に入らなければならない」と定め、これに違反した場合、自動的に1ストライクが追加される。なお、サイン伝達機器「ピッチコム」の使用も解禁されたが、現時点で使用球団はない。また、今季から延長タイブレークも採用。延長10回から無死二塁でスタートし、12回を終えなお同点だった場合は従来通り引き分けとなっている(情報は4月17日現在のもの)。
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)