3連覇→故障離脱続出で苦しむオリ 前半戦で2桁得点「0」…プラス評価は先発投手

オリックス・中嶋聡監督【写真:小池義弘】
オリックス・中嶋聡監督【写真:小池義弘】

オリックスの前半戦をデータで検証する

 昨季まで3年連続投手4冠という絶対的エースだった山本由伸投手がメジャー移籍したことにより、どのように影響するかが注目された2024年のオリックス。開幕当初は勝ったり負けたりで勝率5割前後をキープしながらの状況だったが、3年連続優勝という大仕事を成し遂げた選手たちに勤続疲労が出てしまったのか、これまでチームを支えてきた主力選手が怪我により大量に離脱してしまった。(数字、成績は7月21日現在)

 左のエース格だった宮城大弥投手、先発でも救援でも獅子奮迅の活躍をしてきた山岡泰輔投手、守護神の平野佳寿投手、山崎颯一郎投手、宇田川優希投手の離脱は痛手となった。また、打線でも森友哉捕手、杉本裕太郎外野手、若月健矢捕手、福田周平外野手、マーウィン・ゴンザレス内野手、西野真弘内野手、大城滉二内野手、中川圭太内野手、太田椋内野手ら、書けばキリがないほどの離脱選手が生じ、優秀な投手陣でもカバーできないほどの得点力不足に陥った。前半戦で2桁得点した試合はなく、完封負け14試合はリーグでワーストだった。

 先発投手陣は山本が抜けても大きなプラス評価だった。アンダーソン・エスピノーザ投手やルイス・カスティーヨ投手の助っ人投手は、ともにQS率8割、HQS率3割、WHIP 1.0~1.1 、K/BB 3.5前後と先発としての役割を十分に果たしている。また、昨年の山下舜平大投手に続き、東晃平投手、曽谷龍平投手、齋藤響介投手といった若手投手の起用も積極的に起用。登板間隔を調整しながら若手育成も施している。ただ、東も6月末に怪我による離脱となり、投手運用はまだ厳しい状況と言えるだろう。

 打線ではFAで広島から西川龍馬外野手が移籍してきたが、レフトのポジションの攻撃力において、そこまでのアドバンテージを稼げているわけではない。後半戦は西川を含めた外野陣の攻撃力の底上げが課題となるだろう。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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