大応援団に「鳥肌が立った」 甲子園沸かせた“大社旋風”…対戦した侍戦士が見た強さ
侍U-18の報徳学園・間木、早実・宇野が、大社との試合を振り返った
京都国際の初優勝で幕を閉じた今夏の甲子園。インパクトを残した学校として挙げられるのは、93年ぶりに準々決勝に進出した大社(島根)だろう。「第13回 BFA U18アジア選手権」(台湾)に出場する侍ジャパンU-18日本代表のメンバー18人は全員出場したが、実際に対戦した報徳学園(兵庫)・間木歩投手、早実(西東京)・宇野真仁朗内野手(ともに3年)が激闘を振り返った。
「第106回全国高校野球選手権大会」で、大社は1回戦で選抜準優勝の報徳学園、2回戦で創成館(長崎)、3回戦で早実を撃破。93年ぶりに8強進出を果たした。神村学園(鹿児島)との準々決勝では、2800枚あったアルプススタンドのチケットが完売するなど、まさに“大社旋風”が巻き起こっていた。
戦前、大社の躍進を想像した人は少なかっただろう。ところが、初戦は優勝候補の一角、報徳学園に3-1で勝利。侍U-18で主将を務める間木は「最初は悔しかったですが、なんとか立ち直りました」と語る。「(大社の)エースの馬庭(優太)がいいピッチングをしていて、なかなかランナーを溜められず得点できませんでした。走塁にも力が入っていて、初回から仕掛けられて……。足でかき回されました」。エースを中心とした、まとまりのある強さを感じたという。
応援にも圧倒された。「やっぱり凄かったです。大社の応援で鳥肌が立ったので。それくらい凄かったです」。斜め上を見つめ、アルプススタンドを思い出しながら旋風の始まりを語った。
準々決勝では早実と激突。延長タイブレークの末、大社が3-2でサヨナラ勝利を収めた。激闘を演じた宇野は「このままでは終わらないのかなという雰囲気を味わいました」と異様な感覚を抱いていたという。そう思わせたのは、やはり大応援団の存在。「今まで一切なかった応援の圧がありました。球場全体が大社さんを応援しているようにグラウンドで感じていました」。
もちろん強さの秘密は応援だけではない。宇野は「ひとりひとりのレベルも高いのもありますが、役割を理解して、やりきる力が強かった。応援の力とかいろいろ言われることはありますけど、単純に実力があってまとまりのあるチームだったなと思います」と分析。選手の能力にもチームのまとまりにも脱帽だった。
敗れはしたが、貴重な経験に感謝もしている。「そこに居られたというのは、これから一生経験することはないと思うので、野球人生だけでなく自分の人生にとって良い経験になりました」と宇野。甲子園を席巻した大社との戦いは財産になっている。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)