意外な場面で生まれた“団結の言葉” 「ONE TEAM」…オリ救援陣を支えるメンタル
オリックスの救援陣をまとめる「ONE TEAM」の言葉
何気ない一言が、チームの結束を生んでいる。オリックスの救援陣の合言葉となっている「ONE TEAM(ワンチーム)」は、意外な場面でのやり取りが共感を呼んで定着したものだった。相手チームの流れを食い止め、味方の反撃を促し勝ち試合に結び付ける奮闘ぶりが光る中継ぎ陣。その結束ぶりを象徴するのが「ONE TEAM」だ。
ベテランの比嘉幹貴投手や平野佳寿投手を欠くブルペン陣で、日本人最年長の今季33歳・山田修義投手がみんなに呼び掛け、絆を深める“行事”になっている。「いつ言うとか、決まりごとではないんです。ゲン担ぎでもないし、使う場面もバラバラですね。アップ前とか、中継ぎ陣がしんどい時やみんなが疲れているだろうな、という時に僕は言いますね。自然に……というか、みんなで頑張ろうという感じです」と山田は穏やかな表情で説明する。
ただ、言い出したのは山田ではなく「ヒロシ(鈴木博志投手)か、井口和朋投手)だったような気がします」と謙遜する。鈴木に尋ねると「僕じゃないですよ。井口(和朋投手)さんじゃないですか?」と答えをくれた。
そして、井口に聞けば……。登板予定がなく試合前に“早退”する際のチームメートとのやり取りがきっかけだったという。「登板予定がない日の練習後、ロッカーを出ようとすると投手たちが『何を先に帰っているんですか』と冗談を言ってきたんです。そんな時に『ONE TEAMだからね』という言葉が出たんです。今日、僕は帰るけれど……。心はみんなと一緒にあるよ、一緒に戦っているよ、絶対に勝とうね、という思いですね」と思わず口をついた言葉の意味を説明した。
ブルペンでは、山田だけでなく井口も声を掛ける。「ヒロシなんかは苦しい場面でよく投げているじゃないですか。そんな時『ONE TEAMだよ!』と言いますね」。今季31歳の井口への、後輩たちによる“軽口”がきっかけで生まれたワード。言葉だけでなく、ブルペン陣の雰囲気の良さを彷彿とさせるエピソードとなっている。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)