巨人に浮かぶ“代役問題” 埋まらない穴を専門家が指摘…敗退した阪神と重なる課題も
第1戦はオコエ、第2戦では中山が「3番」に抜擢されるも無安打
■DeNA 2ー1 巨人(17日・東京ドーム)
セ・リーグ優勝の巨人は17日、本拠地・東京ドームで行われたDeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第2戦に1-2で競り負け、2連敗を喫した。アドバンテージを含めても1勝2敗で、黒星が先行。レギュラーシーズンで全143試合スタメン出場を果たした吉川尚輝内野手を故障で欠く打線は、2試合でわずか1得点と沈黙している。
1点ビハインドで迎えた6回の攻撃では、2番のオコエ瑠偉外野手が右中間二塁打で出塁し、4番・岡本和真内野手の中前適時打で生還。しかし、巨人の得点はこの1点のみで、先発した菅野智之投手の7回2失点の好投に報いることができなかった。前日(16日)の第1戦で完封負けを喫したのに続き、打線は鳴りを潜めたままだ。
問題は、レギュラーシーズンで主に3番打者として活躍した吉川の“代役”である。CS初戦ではオコエが「3番」を務めたが、4打数無安打で2三振。この日はレギュラーシーズンでは未経験の22歳・中山礼都内野手が抜擢され、こちらも4打数無安打で2三振に終わった。中山はレギュラーシーズン終盤の9、10月に打率.458(24打数11安打)の猛打を振るい、前日のCS初戦でも代打で痛烈な三直を放っていた。
現役時代にヤクルト、横浜(現DeNA)など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「阿部(慎之助)監督は前日の中山のサードライナーを見て、状態がいいと判断して3番に起用したのでしょう。下位の打順で気楽に打たせてたら、違う結果が出ていた気がします」と指摘した。その上で「“3番問題”は難しい。今後の選択肢は、浅野(翔吾外野手)を外し長野(久義外野手)を入れて3番に置くか、あるいは抜群のキャリアで何とかしてくれる期待を込めて坂本(勇人内野手)を5番から3番に上げ、5番に捕手(大城卓三捕手か岸田行倫捕手)を置くか……。ベテランにこだわるわけではありませんが、それくらいしか浮かびません」と思案する。
巨人打線の課題は3番だけではない。「3番に注目が集まりがちですが、1、2番を含めて、4番の岡本和の前になかなか走者を出せないことが問題です。CSファーストステージでは、阪神の1番・近本(光司外野手)、2番・中野(拓夢内野手)が、2人合わせて2試合で18打数2安打と抑えられ、敗退の要因になりました。今のところ、同じことが巨人に起こっています」と野口氏は言う。
勢いに乗る相手のDeNA「歯車が合わなくなると全員シュンとする傾向」
巨人は第1戦で、1番・丸佳浩外野手と2番・増田大輝内野手が、4打席ずつ立って出塁は1度ずつ。第2戦では、1番・丸はヒット性の当たり2本を相手の好守に阻まれる不運もあって、4打席で出塁なし。2番・オコエの出塁は6回の二塁打だけで、これが巨人の唯一の得点に結びついた。「走者を置いた状態で岡本和に数多くつなげるかどうかがポイントです。走者なしで岡本和が打席に入れば、相手はホームランだけは打たれないような投球をしてくる。その点、走者がいてヒットでも点が入るとなれば、ハードルが下がり、岡本和自身の気持ちも楽になります」と野口氏は見ている。
相手のDeNAは、CSに入ってから4戦全勝で勢いに乗っている。「精神論を言うようですが、短期決戦では気持ちを前面に押し出して戦うことも大切です」と野口氏。「DeNAナインは、一丸となって勢いに乗ることができる一方で、いったん歯車が合わなくなると、全員がシュンとしてしまう傾向があります。巨人としては、相撲に例えれば、がっぷり四つに組もうとするのではなく、相手が張り手をかましてくるのであれば、こちらから先に1発お見舞いするくらいの気迫が必要ではないでしょうか」と提言した。
第3戦の巨人の先発はフォスター・グリフィン投手。まずは闘志を前面に出した投球で、流れを引き込むことができるか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)