侍J投手陣は「戸惑うかもしれない」 WBC世界一右腕が分析…豪州代表の上位打線

日本製鉄かずさマジック・渡辺俊介監督(左)と豪州代表のデーブ・ニルソン監督【写真提供:PLM】
日本製鉄かずさマジック・渡辺俊介監督(左)と豪州代表のデーブ・ニルソン監督【写真提供:PLM】

日本野球をよく知る元オリックス選手

 9日に開幕する「2024プレミア12」に出場する豪州代表には、オリックスでもプレーしたダリル・ジョージ内野手(メルボルン・エイシズ)が名を連ねている。日本にも縁のあるジョージと豪州代表との練習試合を行った日本製鉄かずさマジックを率いる渡辺俊介氏に話を聞いた。

 ジョージは2015年から2シーズン、BCリーグ(当時)の新潟アルビレックスBCでプレー。2017年にはオリックスの育成選手として入団したが、支配下になることなく退団。その後、オーストラリアン・ベースボールリーグのチーム「Melbourne Aces(メルボルン・エイシズ)」に所属し、主に一塁手、三塁手、指名打者としてプレーしている。

 直近のシーズンでは全試合(40試合)に出場して打率.270、7本塁打(リーグ3位タイ)、17打点で、長距離バッターとして活躍。国際大会では「2019プレミア12」に出場。2023年のWBCでは全試合で4番を担い、チームの準々決勝進出に貢献した31歳は「2024プレミア12」への思いを語った。

――2023年のアジアプロ野球チャンピオンシップに続いて代表に選ばれましたが、代表としてプレーすることへの思いとは?
「とても光栄なことでいつも興奮しますし、幸せな気持ちになります。日本にチームの一員として来ることができ、興奮しています」

――現在のコンディションはいかがでしょうか?
「とても良いコンディションです。少し前に痛むところがありましたが、今は問題なく良い感触です。名古屋での初戦は問題ありません」

――初戦は日本と対戦します。日本でのプレー経験や日本との対戦経験がありますが、どのような印象を持っていますか?
「日本は、とてもいいチームという印象を持っています。とても練習熱心ですし、規律もあるいいチームなので、いつも日本代表と戦うときはいい挑戦ができていると感じています。そして、日本との試合は観客もたくさんいるので、とてもエキサイティングです」

――日本で印象に残っている出来事などはありますか?
「とてもたくさんあります。ご飯はいつも美味しいですし、人もとても優しいです。オリックスでプレーした経験は、とても素晴らしいものでした」

――例年、豪州のウインターリーグでプレーをされていますが、2023年のウインターリーグに参加し、今回は日本代表に選出された楽天の早川隆久投手の印象はありますか?
「彼は、とてもいいピッチャーだと知っていますが、残念ながら対戦する機会がありませんでした」

――今大会の目標は?
「チームが勝つことに全力で力になりたいです。そして、メダルを取るためにここに来ていますので、トップを目指して頑張りたいと思います」

――最後に今大会への意気込みと、日本のファンへのメッセージをお願いします。
「私と豪州代表は、この大会でプレーできることにとても興奮しています。日本に滞在している間にサポートしてくれている日本のファンに『ありがとう』と伝えたいです」

渡辺俊介氏は2006年第1回WBCの優勝メンバー

 現在、社会人野球の日本製鉄かずさマジックを率いる渡辺俊介監督は、13年間のロッテ時代に通算87勝をマーク。現役時代は、国際大会の経験も豊富な稀代のアンダースロー投手として活躍した。

――練習試合を経て、今回の豪州代表の印象はいかがですか?
「練習試合だったこともあり、いろんなことを試しているなと感じました。バッターは強く振れるボールが来るのをしっかり待っている印象でした。また、ピッチャーは左のサイドなど、バラエティに富んだ投手陣で豪州らしいなと感じました。そんな中で、バントだけのために出てくる選手や1アウトからのバントなど、細かく点を取ろうとしてくることが昔はあまりイメージがなかったので印象的でした。全米ドラフト1位の1番打者であるトラビス・バザーナ内野手はスピードがあるので、上位打線の彼が塁に出るとチームが盛り上がるなという印象です」

――他に印象に残った選手はいますか?
「2番打者のアーロン・ホワイトフィールド外野手のタイミングの取り方や、ボールに対してリラックスしてしっかりと待てる、あのスタイルは日本にはあまりいないので日本の投手は最初、戸惑うかもしれないと感じました」

――海外での野球経験もある渡辺監督。海外でプレーするにあたり、日本の選手が気をつけるべきことはありますか?
「驚かないことです。けん制球の投げ方だったり、審判だったり、球場までのバスが遅延してしまったりだとか、国際大会は普段と違うことが起きます。何があっても驚かずに『何とかなる』と落ち着いて対応することが、国際大会では一番大事だと思います」

――日本代表に期待することは?
「日本らしく戦っていけば、自ずとチャンピオンに近づくことができると思います。井端弘和監督も大変かと思いますが、自然体でプレーして、隙のない野球をしていけば問題ないと思います。

――その一方で、豪州代表に期待することは?
「豪州代表は、いつも紳士的で気持ちの良い野球をしているイメージがあります。そういったプレーをする姿勢をプレミア12でも見せてもらい、観戦するファンの方も気持ち良く楽しんでほしいなと思います」

 日本で順調な調整を続ける豪州代表は、13日にバンテリンドームで侍ジャパンと大会初戦を迎える。今回紹介した選手を中心に、ぜひ注目してほしい。

(「パ・リーグ インサイト」高木隆)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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