貧打の西武…苦境の中で台頭した“希望の星” 4番に抜擢された21歳、片鱗示した大砲候補

西武・山村崇嘉【写真:小池義弘】
西武・山村崇嘉【写真:小池義弘】

高卒4年目の山村崇嘉はキャリアハイの58試合出場…4番も経験した

 課題は明白だった。チーム打率.212、350得点、60本塁打。いずれもリーグワーストだった。投手が好投しても打線が援護できない試合が続いた。借金42で最下位に沈んだ2024シーズン、西武は貧打に苦しんだ。

 キャプテン・源田壮亮内野手は全143試合に出場。シーズン序盤は打率2割台前半と苦しむも、7月に月間打率.345をマーク。打率.264でシーズンを終えた。印象的だったのは9月15日のロッテ戦だった。引退を迎えた戦友・金子侑司外野手を二塁に置き、右越え3号2ラン。生還後に2人は熱い抱擁を交わした。守備力も健在で、三井ゴールデン・グラブ賞を7年連続7回目の受賞。今季もたまらんプレーでファンを沸かせた。

 選手会長を務めた外崎修汰内野手は127試合に出場し、打率.227と苦しんだ。5月4日のソフトバンク戦では、チームの延長戦15連敗を止めるサヨナラ打を放ち、9月7日の同戦では通算100本塁打を達成した。

 かつて松井稼頭央氏や浅村栄斗内野手(楽天)が着け、出世番号としても知られる背番号「32」。その系譜を継いだ高卒4年目・山村崇嘉内野手がキャリアハイの58試合に出場した。4月12日に1軍昇格するも、同21日に登録抹消。6月25日に再昇格し、7月15日のオリックス戦で初の4番に座った。同17日のオリックス戦では、自身本拠地1号のソロ本塁打を放った。しかし8月は25試合で打率.202と苦しみ、9月以降はファームで過ごした。

 シーズン終盤に4番に座ったのは佐藤龍世内野手。背番号を変更して臨んだが、打率は1割台に低迷。6月12日の広島戦で骨折し、2か月戦線離脱した。しかし、8月12日に1軍昇格し、月間打率.386。シーズン終盤は4番として、チームをけん引した。チーム2位の37四球を選び、出塁率.330を記録した。

 元山飛優内野手は今季、ヤクルトからトレードで加入。打率.143に終わったが、9月1日の日本ハム戦では逆転サヨナラ打を放った。7月5日にソフトバンクからトレードで加入した野村大樹内野手は、自己最多自身最多の59試合に出場。40安打、5本塁打、22打点、長打率.406をマークした。

西川愛也は自己最多の104試合、ドラ6・村田怜音は初打席で安打

 怪我に泣いたのは平沼翔太内野手だ。5月の月間打率は.306だったが、5月30日の中日戦で負傷交代。登録抹消となった。8月29日のロッテ戦で1軍復帰。4安打2打点で勝利に貢献するも、9月以降は60打数12安打、打率.200に終わった。シーズン通算では打率.265、得点圏打率は.375だった。

 飛躍のシーズンを過ごしたのが、25歳の西川愛也外野手だ。自己最多の104試合に出場。打率は.227も71安打、6本塁打、31打点はキャリアハイだった。今季放った本塁打は全て7月以降。得点圏打率.347は100打席以上立った打者でチーム2位。センターの守備でもファンを魅了した。

 長打力不足を補うため加入した新外国人のヘスス・アギラー内野手、フランチー・コルデロ外野手は好結果を残せず。長く主軸で活躍した山川穂高内野手(ソフトバンク)、森友哉捕手(オリックス)らの穴が埋まらなかった。

 中村剛也内野手は5月25日のオリックス戦でNPB歴代10位の通算477本塁打をマーク。チームトップタイの7本塁打を放つも、右手関節炎により7月10日を最後に1軍出場がなかった。栗山巧外野手は、勝負強さを武器に代打で一定の結果を残した。

 ドラフト6位ルーキー・村田怜音内野手は、5月11日の楽天戦でプロ初出場。初打席で初安打をマークすると、14日の日本ハム戦では初打点を記録した。しかし、翌日の試合で負傷。9月23日の2軍戦で実戦復帰し、そのままシーズンを終えた。

 3年目の古賀悠斗捕手は、105試合に出場。外野手では岸潤一郎外野手が98試合、長谷川信哉外野手が72試合、蛭間拓哉外野手63試合に出場したが、定位置をつかむ選手は現れなかった。

(「パ・リーグ インサイト」谷島弘紀)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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