急成長の27歳…注目される大物新人とのレギュラー争い Bクラス低迷も台頭した若手
辰己は外野手のシーズン刺殺日本記録、小郷は球団初のフルイニング出場
楽天は今季、67勝72敗でパーソル パ・リーグ4位に終わった。3年連続Bクラスに沈んだが、「日本生命セ・パ交流戦」を13勝5敗で初制覇を飾るなど収穫もあった。チーム打率.242、459打点、72本塁打はいずれもリーグ4位だったが、小郷裕哉外野手が球団初のフルイニング出場し、辰己涼介外野手は最多安打を獲得。小深田大翔内野手は初の三井ゴールデン・グラブ賞、ベストナインに輝いた。
28歳の小郷は今季、打率.257、145安打(リーグ2位)、32盗塁(リーグ2位)。12球団唯一のフルイニング出場も達成した。6月5日の阪神戦では9回2死から逆転弾を放ち、同11日の巨人戦では2死満塁からサヨナラ打。「日本生命セ・パ交流戦」初優勝に貢献した。8月に調子を落としたものの終盤に再び調子を上げ、9月14日、17日に5打席全出塁。今季最終戦(10月9日、対西武)では3安打をマークした。
昨季、ショートのレギュラーに定着した27歳の村林一輝内野手は9年目の今季、攻守ともにさらに飛躍した。8月25日の西武戦で、初のシーズン100安打。自己最多の139試合に出場し、125安打、50打点、6本塁打はいずれも自己ベストだった。野球日本代表「侍ジャパン」の一員として「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」にも出場した。来季からは背番号「6」を着ける。村林と二遊間を組んだ小深田は「ずっと獲りたいと思っていた」というゴールデン・グラブ賞を初受賞。ベストナインにも選出された。
158安打でタイトルを手にした27歳の辰己は守備でも大記録を樹立した。10月8日の日本ハム戦で、391刺殺のプロ野球記録に並び、5回に392刺殺を達成。1948年に巨人・青田昇氏がマークした外野手シーズン刺殺数391の日本記録を塗り替えた。2021年から4年連続でゴールデン・グラブ賞を受賞した。
明大・宗山がドラ1で入団…注目される村林との遊撃争い
昨季、本塁打王に輝いた浅村栄斗内野手は今季、打率.253、14本塁打。序盤は不振に陥ったが、7月に月間MVPに輝いた。9年連続全試合出場を果たし、2015年途中から続いている連続出場試合記録を伸ばし続けている。ドラフト6位ルーキー・中島大輔外野手は、新人野手で唯一人1軍を経験。37試合に出場し、打率.228、1本塁打、10打点をマークした。
鈴木大地内野手は123試合で打率.266、41打点。4月7日のソフトバンク戦でサヨナラ打、7月5日の同カードでは逆転の2号3ランを放つなど、勝負強さで打線をけん引した。阿部寿樹内野手は78試合で打率.227、9本塁打。8月は月間5本塁打を記録した。
今季は太田光捕手、小郷、辰己が出場機会を多く得た。来季は同学年の伊藤裕季也内野手や渡邊佳明内野手らの奮起も期待される。2013年の優勝を知る岡島豪郎外野手と島内宏明外野手は今季、それぞれ31試合、40試合出場にとどまったが、復活すれば打線に厚みが出るだろう。さらに、ドラフト会議で5球団競合の末に獲得した明大・宗山塁内野手の活躍にも注目したい。
(「パ・リーグ インサイト」後藤万結子)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)