年俸を上げたくても…鷹28歳が語った“ジレンマ”の正体 現場とフロントの「違い」
1400万円アップの7000万円でサイン…球団とも「いい話ができました」
ソフトバンクの藤井皓哉投手が26日、みずほPayPayドームの球団事務所で契約更改交渉に臨んだ。1400万アップの年俸7000万円(金額は推定)でサインをした。球団との話し合いの中で訴えたのは、中継ぎ投手の査定の見直し。“50試合の壁”が厚くなっていることを、言葉にして伝えた。
藤井はソフトバンクに入団して3年目。今季は中継ぎとして40試合に登板して2勝1敗1セーブ、19ホールドを挙げた。9月1日に腰痛を理由に登録抹消されたが、リーグ優勝に貢献したのは間違いない。「今は動きに関しての制限はないですし、少しずつ、トレーニングに関しては前やっていたところに近づいている状況です」と、状態について説明した。
「いい話ができました」と語る球団との交渉。これまでも「肩を作って準備した回数」を査定に含んでほしいと訴える中継ぎ投手はいた。藤井が伝えたのは、現場とフロントの“ジレンマ”だった。
「今、球界全体を見ても今年のホークスを見ても、50試合のハードルが少し高くなってきている。そのハードルを見直していただけないかという話をさせていただきました。現場(首脳陣)が投げさせすぎないようにというのも感じていたので。その辺がこれまでと変わってきているんじゃないですかという話をしました」
投げなければ年俸アップには繋がらない…「ブルペンにいる選手は投げてナンボ」
首脳陣は怪我をさせないために、登板数をなるべく少なくしようとする。一方で、投げなければ査定には繋がらず、自分の年俸も上がらないというのが本音だ。「ブルペンにいる選手はもちろん、数を投げてナンボ。その気持ちをマウンドにぶつけられたら成績を出せるとは思っていました。ただ、監督コーチや選手と、フロントの考えが少し違う部分がありました」という。だから“ハードル”の見直しについて、思いをハッキリと伝えた。
今季のチームでも50試合に到達したのは松本裕樹投手と杉山一樹投手の2人だけ。藤井も、過去に球団から50試合が1つの目安になることは伝えられた経験があるといい「僕がホークスに来た時にその話をされた。でも2年前と、今年では使い方がすごく違うので、検討していただけたら」と明かした。藤井自身の考えは「イニングを見てほしいと言いました。今年は特に回跨ぎも多かったし、回跨ぎなら少しプラスになってもいいんじゃないかという話もさせてもらいました」と続けた。
三笠杉彦GMは「年々、見直しはかけている。かつては先発投手も規定投球回に達して一人前というか。でも今、達している投手は12球団でも数人しかいない。中継ぎも50試合、多い時は70試合とかありましたけど、ほとんど3連投もなくなっている。登板をシェアするようになってきている」と言及した。その上で「今年起こったことが、すなわちトレンドだと考えるのは、やや早計かと。チームや選手層によって全然違う部分もある。もう1度、全体を見渡してやっていきたいです」と、含みも持たせた。
腰痛の現状も踏まえて「怪我をしなければ、勝負できる自信はあります」 とキッパリ言った。シーズンが終了して以降、倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)から2025年も中継ぎ起用することは通達された。チームの勝利に貢献し続けることで、リリーフの価値をどんどん上げてみせる。
(竹村岳 / Gaku Takemura)