2軍タイトルも戦力外「なんで俺が」 新天地の同僚も驚き…理解できなかった“通告”

オリックス・遠藤成【写真:北野正樹】
オリックス・遠藤成【写真:北野正樹】

阪神を戦力外になり、オリックス育成の遠藤「不甲斐なさ、無力さを感じました」

 新天地で“デビュー”を果たしてみせる。オリックス育成・遠藤成内野手が、静かに闘志を燃やしている。今オフに阪神から戦力外通告を受け、オリックスに移籍。「今年は育成契約からのスタートなので、何がなんでもアピールしたいなという気持ちです」。流す汗から、必死さが伝わる。

 遠藤は2019年ドラフト4位で東海大相模高から阪神に入団。昨季はウエスタン・リーグでトップの出塁率.392、リーグ2位の30盗塁と飛躍したものの、1軍での出場機会に恵まれなかった。プロ5年間で1軍出場のないまま、戦力外通告を受け「自分の不甲斐なさ、無力さを感じました」と肩を落とす。

 飛躍を誓う6年目を迎えるはずだった。戦力外を通達された瞬間は「なんで俺が……って気持ちにもなりましたね」と胸中を明かす。数日が経ち「冷静になっても、なんで……が強かったですね」と拳を強く握る。

「1軍に出られなかったので、来年にやってやろうという気持ちでした。『いざ行くぞ』って時に戦力外になったんです。でも、事実は変えられない。せっかく獲っていただいたので、結果を残してやろうという気持ちが強いですね」

 昨季2軍では打率.262ながらリーグ1位の出塁率.392と持ち味の選球眼を発揮した。自身の長所は「走れるところですね」と力を込める。果敢にスタートを切れる積極性も見せつけていきたい。

「結構、『なんで戦力外なの?』と言われましたね。同僚たちからも言われました。まさかだなって……。もう僕に失うものはないので、どんどん食らいついていきたいです」

 煌びやかな世界を目指した5年間。悔しさしか残らなかった過去を懸命にアップデートする。泥々のユニホームだからこそ、よく映える。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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