移籍3年目で誓った原点回帰 森友哉が掲げる「100」…代えた“相棒”と突っ走る1年

春季キャンプで汗をながすオリックス・森友哉【写真:小林靖】
春季キャンプで汗をながすオリックス・森友哉【写真:小林靖】

オリックス・森友哉が掲げる「原点回帰」の1年

 オリックス・森友哉捕手は移籍3年目の今季「原点回帰」をテーマに掲げる。「怪我なく1軍に居続けて、キャリアハイ。100試合はスタメンでマスクをかぶりたいですね」。静かに口を開いた。

 2022年オフに西武から国内FA権を行使し、オリックスに移籍した。移籍1年目は打率.294(リーグ4位)、18本塁打(同6位)、64打点(同7位)でチームの3連覇に貢献。昨季は4月末時点での打率が.198と大きく出遅れ、最終的にリーグ3位の.281まで引き上げたもののチームはBクラスに甘んじ「悔しかった1年」に終わってしまった。

 2023年のシーズン後、ドジャース・大谷翔平投手やカブス・鈴木誠也外野手らが取り入れている地面からの反動でパワーを生む新打法に挑んだ。体が伸び上がってしまうデメリットもあり、開幕前に断念したがタイミング的には遅く本来の調子を取り戻すことに時間がかかってしまった。

 打感や飛距離を求め、西武にドラフト1位で入団して以来、使っていたバットのタイプも、昨シーズン途中から変えた。初めてのキャンプで捕手の先輩だった藤沢亨明さん(現・西武ブルペン捕手兼スコアラー)から借りたバットは「1年目なので、なんでそのバットがよかったのかはわからないんですが、自分の中でしっくりとくるなと思ったんです」と相性がよく、ずっと同じタイプを愛用し続けていた。

「バットだけで打撃が上向いたのではありませんが、ちょっとずつよくなっていく、たまたまいいタイミングでした。バットが変わっていなくても上がっていたとは思います」と振り返るが、2019年に打率.329で首位打者を獲得した時も使っていたバットに代わり、新たなタイプのバットを求めたところに打撃面での苦悩ぶりがうかがえた。

 今季は正捕手にもこだわる。左太もも裏の筋損傷などで2度離脱し、117試合出場となった昨季は、先発出場は捕手47、DHで50、右翼が13だった。2023年シーズンも捕手は57試合にとどまっており、2019年(126試合)、2021年(118試合)以来、3度目の捕手として先発100試合以上を目指す。

「もう1度、高校時代やプロ入りした当初を振り返って、走ることや体の使い方など、どこを意識してきたかなど、昔やってきたことを大事にしたいと思います」。8月で30歳を迎えるプロ12年目。温故知新で臨む。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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