プロ8登板でも「先発ローテに入れる」 専門家が太鼓判…21歳に備わった“ギャップ”

キャンプで練習を行う西武・菅井信也【写真:小林靖】
キャンプで練習を行う西武・菅井信也【写真:小林靖】

野球評論家・野口寿浩氏が現地視察…西武の3投手に注目

 西武の宮崎・南郷キャンプで、21歳ホープトリオが注目を集めつつある。先発タイプの左腕・菅井信也投手、驚異の最速157キロ左腕・羽田慎之介投手、最速158キロを誇り中継ぎの一角を狙う右腕・黒田将矢投手。同い年の3人は2021年ドラフト同期でもあり、プロ4年目を迎えたところだ。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が8日、3人のフリー打撃登板に熱視線を送った。

 この日、最高気温が7度までしか上がらず冷え込んだとあって、室内練習場内に場所を移して行われたフリー打撃に登板。菅井がインハイのストレートで、モンテル外野手のバットに空を切らせるシーンがあった。野口氏は「力感のないフォームから、力強いストレートが来る。このギャップがあるから、スピードガン表示がそれほどでなかったとしても、打者はタイミングを合わせづらいのです」と分析する。

 変化球も多彩。野口氏は「僕がきょう見た限りでも、ストレート、カーブ、スライダー、カットボール、ツーシーム、チェンジアップを投げていました」とチェック。「あれだけいろいろな球種がある中で、力感のないフォームから強い真っすぐが来るとなると、打者からは常に変化球が来るように見えて、真っすぐがビュッときた時に差し込まれるのだと思います。球種が多いことは、先発向きの要素でもあります」と指摘した。

 西武首脳陣の、菅井を見る目も変わってきた。というのも、昨年のパ・リーグ新人王で21試合10勝6敗、リーグ2位の防御率2.17をマークした武内夏暉投手が現在、左肘の張りのため2軍キャンプに回っている。開幕ローテ入りにも暗雲が垂れ込める。野口氏は「現時点で1軍にいない以上、首脳陣としては開幕時点での不在も想定して備えなくてはなりません。左の穴は、左が埋めるのが理想。菅井は先発ローテに入れるだけのものを持っていると思いますよ」と太鼓判を押した。

「菅井は阪神の守護神岩崎、羽田はヤクルト高橋奎二に近いタイプ」

 育成3位で入団した菅井は、昨年支配下登録を勝ち取り、6月6日のヤクルト戦(神宮)に先発し1軍デビューを飾った。1軍では8試合(先発5試合)1勝2敗1ホールド、防御率5.25とという数字を残した。

 一方、羽田は191センチの長身から繰り出す剛速球が持ち味で、今季はまず中継ぎでの起用が見込まれている。野口氏は「体が大きいですし、馬力が素晴らしい。菅井とはタイプが違いますが、それぞれ楽しみです」と目を細め、「見た目やスピードガン表示以上に打者を押し込む菅井は、阪神の守護神の岩崎(優投手)。力感あふれる羽田は、ヤクルトの高橋奎二(投手)に近いタイプと言えるかもしれません」と1軍で活躍中の他球団の左腕になぞらえた。

 また、3人の中で唯一人1軍未登板の黒田は、登板したフリー打撃の途中で、「クイックで投げてもいいですか?」と申し出て、自らフォームを修正する能力を見せた。「体の使い方が大きい投球フォームです。うまくタイミングが合うと素晴らしい球が来ていましたが、うまくハマらない時には制球が乱れていた。その数を減らすことが課題でしょう」と野口氏。「クイックで投げ始めてからは、比較的まとまっていたと思います」と評価した。

 今井達也投手、平良海馬投手、高橋光成投手ら先発ローテの柱が健在なうちに、次世代の西武をささえる人材も育ってくれば、これほど心強いことはない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY