メジャー実績抜群も…燕助っ人に早くも“懸念材料” 専門家が指摘したポイント

ヤクルトに加入したピーター・ランバート(左)とマイク・バウマン【写真:栗木一考】
ヤクルトに加入したピーター・ランバート(左)とマイク・バウマン【写真:栗木一考】

先発ランバート、抑え候補バウマン、新たにアビラも獲得

 セ・リーグ連覇後、最近2年で連続5位と低迷しているヤクルトを、新外国人投手3人が押し上げるか。先発ローテ入りを期待されるピーター・ランバート投手と抑え候補のマイク・バウマン投手が15日、沖縄・浦添キャンプで初めてライブBP(実戦形式の打撃練習)に登板し、順調な仕上がりをうかがわせた。さらに球団はこの日、前ガーディアンズのペドロ・アビラ投手と契約を結んだことを発表。こちらも先発要員として期待される。

 現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が、ライブBPでランバートとバウマンの投球を打撃ケージ裏でチェックしていた。

「先発候補のランバートは、チームが計測していたスピードガンによると、この日の最速が150キロ。スライダー、カーブのような曲り球がいい投手です」と野口氏。「最初に打席に入った(ホセ・)オスナ(内野手)に対する初球のスライダーが大きく曲がって空振りさせ、見守っていたコーチ陣や評論家が『スイーパーか?』とざわついたほどでした」と明かす。

「ただ、その後スライダーは球速が上がった代わりに曲がり幅は小さくなりました。本人は縦と横のスライダーを投げ分けていて、その中でもボールを抜いたり、切ったり、いろいろ変えられるようです」と解説。カットボール、チェンジアップもあり、「捕手陣がストレートと変化球の相乗効果を生み出す配球をしていければ、面白い存在になると思います」と評した。

 課題も目についたという。野口氏は「時おり、捕手のサインに首を振って変化球を投げていました。この2月半ばのライブBPで、あれだけ変化球を投げたがるということは、試合になったら本当に変化球ばかりになってしまうのではないかと心配になりました。真っすぐがあるから変化球が生き、変化球があるから真っすぐが生きる。配球に偏りができると、狙い球を絞られやすくなると思います」と警鐘を鳴らした。

「アーム式の投げ方で疲労がたまった時に腕が振れるかどうか」

 一方、抑え候補のバウマンは193センチ、108キロの体格を誇り迫力満点だ。野口氏は「体が大きいのは魅力です。ケージ裏から見ていて近くに見えました。打席に立ったら、なおさら近くから投げられているように見えるのではないでしょうか。最速も153キロ出ていました」と目を細めた。この日はストレートの他に、ウイニングショットの130キロ台後半のパワーカーブ、カットボールを投げていた。

 ただ、野口氏は「コントロールが荒れ気味な点、開き気味のフォームのため、球がシュート回転しがちな点、投げ方がどちらかというとアーム式(腕を伸ばした状態に近いまま投げ、故障のリスクが高いともいわれる)で、シーズンが進み疲労がたまった時に、あれだけの腕の振りが継続できるのかという点が気になりました」と投げかけた。

 ランバートはメジャーで通算74試合8勝19敗、バウマンも134試合15勝6敗の実績を持っている。新たに入団が決まったアビラもメジャー通算72試合8勝4敗で、昨年はパドレスとガーディアンズの2球団に在籍し、計54試合6勝1敗、防御率3.81をマークした。例年以上に実績のある新助っ人がそろった印象だ。

 今年のヤクルトの先発ローテを、野口氏は「高橋奎二(投手)、吉村(貢司郎投手)、奥川(恭伸投手)の3人で開幕投手争い。左腕の山野(太一投手)、ランバートとアビラも有力でしょう。小川(泰弘投手)、球界最年長選手の石川(雅規投手)、現時点では育成選手ですが、評価を上げているアンダースローの下川(隼佑投手)も、争いに絡んでくると思います」と予想する。

 新外国人投手の出来が、ヤクルトの行方を大きく左右することは間違いなさそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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