エスピノーザが刻んだ「感謝」と“GAMAN” 思い返す忍耐の日々「信念を貫いて」

エスピノーザが刻む「感謝」と「GAMAN」の精神
オリックスのアンダーソン・エスピノーザ投手が「感謝」と「GAMAN」の思いを込め、来日2年目をプレーしている。「自分にとって難しい期間を乗り越えるためにも、すごく意味のある言葉だと思っています」。いつもは陽気なエスピノーザが、真剣な表情で前を見据えた。
エスピノーザはベネズエラ出身。2014年にレッドソックスと契約し1Aで経験を重ね、2016年にパドレスに移籍した。翌年以降、2度のトミー・ジョン手術(TJ)を経験。コロナ禍による1年を含めて4年間、実戦から遠ざかっていたが、カブスに移籍した2022年にメジャーデビュー。、7試合に登板し0勝2敗、防御率5.40歩だった。2024年からオリックスの一員となり、1年目は22試合に登板し7勝9敗、防御率2.63と先発ローテの責任を果たした。
「日本の野球をリスペクトしている」と語るように、日本語にも関心が深く、2年目の今季は首に「感謝」という漢字のタトゥーを入れてプレーしている。以前からスペイン語で「感謝」の意味に近い言葉を彫っていたことから、球団の澤村直樹通訳に相談して、文字を選んだ。
グラブには今季から「GAMAN」と刺繍を入れた。投げることのできなかった4年間を思い出す言葉だといい、こちらは「ラテン系の人たちにも読めるから」と、漢字よりアルファベットを選んだという。昨年は7勝を挙げたが、7月15日の西武戦(ベルーナドーム)以降、今年6月5日の広島戦(京セラドーム)で17戦ぶり、333日ぶりの白星を掴むまで勝利に見放されていた。
「勝てなかった時には、GAMANという言葉を思い出すようにしていました。自分でコントロールができる部分とできない部分があるので、プランB、C、Dといろんな方向に行きがちなのですが、自分が決めた信念を貫いてその思いをいつも思い出すようにしていました」
今季は8月16日の西武戦(同)で、6回1失点と4戦連続してクオリティー・スタート(QS、6回以上自責3以内)を達成するも、3勝6敗と勝ち星に恵まれなかった。8月24日の楽天戦(楽天生命パーク)で7回を114球、1失点で7月1日以来の白星。次戦の西武戦(ベルーナドーム)では、6回途中で11安打を許しながらも、117球で1失点に抑え5勝目を挙げた。刺繍されたグラブは練習用で、試合には使えないが、「GAMAN」の心を忘れずにマウンドに立つ。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)