“守護神・山本由伸”がド軍を救う? 専門家が見る可能性…無茶苦茶じゃない現実プラン

無失点快投のスネルは7回2死に“降板指令”も…志願し続投
大谷翔平投手を擁するドジャースは17日(日本時間18日)、本拠地で行われたフィリーズ戦に5-0で完封勝ちし、ナ・リーグ西地区優勝へのマジックを「8」に減らした。とはいえ、残り10試合で2位パドレスとは2ゲーム差の大接戦。ポストシーズンも視野に、不振のリリーフ陣のテコ入れが必須となっている。
実に象徴的なシーンだった。ドジャースはこの日、サイ・ヤング賞2回を誇る左腕ブレイク・スネル投手が先発し、2安打12奪三振無失点の快投。しかし3-0とリードして迎えた7回、2死から連続四球で一、二塁のピンチを招くと、投球数が107に達したこともあって、デーブ・ロバーツ監督は交代を決断し、ベンチを出てマウンドへ向かって歩き始めた。
これに驚いた表情を浮かべたスネルは、マウンドで続投を強く志願。ロバーツ監督がこれを受け入れ、いったんブルペンを出たアレックス・ベシア投手が逆戻りする珍事も発生した。結局スネルは次打者のオット・ケンプ内野手を空振り三振に仕留め、7回を112球無失点で投げ切ったのだった。
「スネルの投球数は6回終了時点で90球に達していたので、そこで代えてもおかしくなかった。首脳陣はリリーフ陣に不安があるので、7回続投をお願いしたのでしょう。スネルとしては『応じたからには、イニングを投げ切るよ』ということだったと思います。1発で同点になる場面であり、ここにきてリリーフ陣が痛打を浴びるシーンが目立っているドジャースですから、なおさらだったでしょう」。こう解説するのは、現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも詳しい野球評論家・新井宏昌氏だ。
ドジャース投手陣の現状は、スネル、大谷、18日(日本時間19日)のジャイアンツ戦に先発予定の山本由伸投手、サイ・ヤング賞3回のクレイトン・カーショー投手、タイラー・グラスノー投手、エメ・シーハン投手の先発6人がそろって安定。ところが、リリーフのタナー・スコット投手(57試合登板、防御率4.73)、カービー・イエーツ投手(48試合、同5.18)、ブレーク・トライネン投手(27試合、同4.70)らが試合を終盤にひっくり返されるケースが目立ち、チームのアキレス腱となっている。
「短期決戦のポストシーズンとなれば、先発は5人、もしくは4人でも回せるのではないでしょうか。先発の誰かをリリーフに回すことができると思います」と新井氏は指摘。既に大谷がリリーフ登板も辞さない覚悟を示しているが、「経験、適性から見て、現在のドジャースの先発陣で一番ふさわしいのは、山本だと思います」と私見を述べた。
確かに山本はプロ2年目の2018年、オリックスのセットアッパーとして54試合に登板し、32ホールドをマーク。先発転向後も侍ジャパンの一員として、2019年の第2回WBSCプレミア12、2023年の第5回WBCでリリーフをこなしている。
もっとも、先発陣で唯一人開幕から離脱せずに投げ続け、チーム最多の11勝(8敗)を挙げているのが山本。エースの守護神起用を、ロバーツ監督が考えているかどうか……。この人選が、2年連続ワールドチャンピオンへの鍵になるかもしれない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)