山下舜平大が有言実行の復活劇 「長いイニングを」進化を裏付ける“強弱”の力投

オリックス・山下舜平大【写真:栗木一考】
オリックス・山下舜平大【写真:栗木一考】

春先の故障から復活、終盤の切り札となるか

 1軍に戦列復帰したオリックスの山下舜平大投手が、チームの日本一奪還に向け、闘志を燃やしている。

「CS(クライマックスシリーズ)だけじゃなく、ここから日本一も狙えます。残り試合は少ないので、ガンガンいくしかないですね。もっともっと状態は上がると思います」。復帰戦での好投を胸に、山下が声を弾ませた。

 4年目の今季、オープン戦で先発した3月7日の巨人戦(京セラドーム)で、4回無死二塁から甲斐拓也捕手を見逃し三振に仕留めた直後に腰に違和感を覚え、降板した。入団して3度目の腰痛との闘いが始まった。体の成長に伴う腰のコンディション不良とみられ、体幹トレーニングなどで他の部位を鍛えるなどのリハビリを経て、5月中旬から軽いキャッチボール、6月12日には個別練習の一環でブルペンに入った。

 以後、段階を踏んで調整を進め、7月13日のウエスタン・リーグ、阪神戦(高槻)で戦列復帰。7試合に登板後、9月7日の日本ハム戦(京セラドーム)で1軍のマウンドに帰ってきた。5回で91球、被安打3、11奪三振、4与四球、被本塁打1、2失点という内容だった。

 当初、思い描いていた「8月中の復帰」はかなわなかったが、「らしいんじゃないですか、球数を使って三振が多いのは(笑)。でも、今日は『強』ばっかりだったので、3回から理想的な自分の投球ができたように、強弱をつけたら長いイニングを楽に投げることができるようになると思います」と山下。

 復帰2戦目となった9月18日の西武戦(ベルーナドーム)では1点を与えた8回途中で降板したものの、103球で被安打7、8奪三振、1与四球と「長いイニング」を有言実行して完全復活を印象付けた。

 クライマックスシリーズ(CS)争いを繰り広げるチームを、遅れてきた本格派右腕が高みに導く。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹/Masaki Kitano)

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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