新人王へ…ロッテドラ1が求める“数字” 「規定打席よりも」崩さぬ貪欲な姿勢、期する快挙

ロッテ・西川史礁【写真:小林靖】
ロッテ・西川史礁【写真:小林靖】

ロッテ西川、1番で2試合連続のマルチ安打

 1番で新人王へ再加速だ。ロッテ・西川史礁外野手が18日、ZOZOマリンスタジアムで行われた楽天戦に「1番・左翼」で出場。初回に右前打を放つなど2安打を放って7-0の勝利に貢献した。2度の2軍落ちを経験して6月中旬に1軍復帰後は好調をキープ。一躍、新人王の有力候補に浮上したドラフト1位ルーキーの22歳は、バットでチームのけん引を続けている。

 いきなりチームを勢いづけた。初回。先頭で打席に入った西川は、初球の142キロ直球を右前にはじき返した。「ファーストストライクからどんどんいこうと思っている。毎試合、振れる準備をしているし、結果につながって良かったです」。一挙4得点の口火を切り「1番打者がヒットで出るとチームに勢いが出ます。どんな形でもいいので塁に出るように心がけています」と笑みを浮かべた。

 2回無死一塁では、カウント1-2と追い込まれながらチェンジアップを右前打。この回の3得点につなげた。「追い込まれていたのでセンター方向を意識しました」。まさに自在の打撃。7月18日のオリックス戦(ZOZOマリンスタジアム)以来の1番に入った17日のオリックス戦(京セラドーム大阪)に続いて2試合連続マルチ安打を記録し、吉井理人監督も「斬り込み隊長が、文字通り斬り込んでくれた」と称えた。

 オープン戦では打率.410、OPS1.018を記録。ただ、他球団に研究された公式戦では開幕直後から苦しんだ。打率は.132まで落ち込み2軍落ち。4月下旬に1軍復帰も、浮上のきっかけをつかめず5月下旬に再び2軍落ちした。そこで打撃スタイルの変更に着手。ミートポイントの位置を体に近づけ、ギリギリまで引きつけて球を見極めることで対応力が上がってきた。

ロッテ・西川史礁【写真:小林靖】
ロッテ・西川史礁【写真:小林靖】

規定打席到達の可能性「3割を目指したい」

 6月中旬に1軍再昇格。6月は月間打率.441を記録すると7月も月間打率が3割を超えた。8月も月間.344と勢いは衰えない。9月に入って月間.254とやや失速したものの「今は状態は悪くない。最近は上がってきている」と再浮上の手応えを感じている。

 同学年で同期入団の楽天・宗山塁内野手や、西武・渡部聖弥外野手は開幕から活躍を続けて球宴にも出場。ただ宗山は18日現在で打率.262。シーズン序盤は3割を大きく超えていた渡部聖は規定打席を割り込み、同.258と苦しんでいる。ここにきて一気に数字を上げてきた西川が、新人王レースの主役に浮上している。

 ペナントレースの残りは12試合。規定打席到達まで51打席(1試合平均4.25打席)必要な状況だ。この試合でも5打席回ってきたように、1番に入れば最も打席が回ってくるだけに、到達の可能性は十分にある。ただ、西川は別の数字を見据える。「規定打席は立てればいいと思います。ただ自分としては規定打席より、3割打ちたい。それはシーズン前から思っていました。毎打席ヒットを打てるようになるにはどうすべきか考えながらやっています」。

 現在の打率は.286。6~8月の数字を再現できれば不可能ではない。「そこを目指せば安打数もついてくる。まずは3割を目指したい」。もしも打率3割を達成すれば新人王どころではない。パ・リーグの打率トップはオリックス・西川龍馬外野手で.312。逆転での首位打者の可能性も出てくる。そうなれば新人史上初の快挙となる。西川は諦めずに最後までフルスイングを続けていく。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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