大谷翔平、52号に感じた“凄み”「久しぶりに見た」 CY賞左腕を粉砕…専門家が評価した対応力

52号本塁打を放ったドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】
52号本塁打を放ったドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】

大谷が左翼方向へ逆転3ラン、新井宏昌氏「見事な打撃」

【MLB】ドジャース 6ー3 ジャイアンツ(日本時間20日・ロサンゼルス)

 大谷らしい一撃だった。ドジャースの大谷翔平投手は19日(日本時間20日)、本拠地で行われたジャイアンツ戦に「1番・指名打者」で出場。5回に逆転3ランを放ちチームを3連勝に導き、ポストシーズン進出にも貢献した。劣勢の状況で、外角の直球を左翼ポール際に運ぶ会心の一発。現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも詳しい野球評論家・新井宏昌氏は「見事な打撃でした」と称賛した。

 1点を追う5回2死一、二塁。大谷は2021年サイ・ヤング賞左腕のロビー・レイと対峙した。初球は95.4マイル(約153.5キロ)が外角高めに外れてボール。その後も力強い直球が続き、カウント2-2からの5球目は外角高めへ。95.5マイル(約153.7キロ)を完璧に捉えた打球は、左翼スタンドに吸い込まれていった。

「レイは1死一、二塁からラッシングを三振にとった後、ここを抑えれば白星に近づくという思いだったと感じました。大谷を打ち取ってやろうとギアを一段と上げてきていました。最後は外のフォーシーム。コースは決して甘くありません。しかも追い込まれている状況です。変化球がくるかもしれないと考えながらもファウルにしないで仕留めました。それが素晴らしかったですね」

 初回の第1打席は3球続いた直球に押し込まれて中飛。3回の第2打席は直球を捉えたものの中直に終わっていた。「2打席目もセンターにいい当たりの打球でした。いい感じで打席に入れているなと感じていました」。レイは序盤から直球中心の組み立てだったとはいえ、要所ではスライダーなど変化球も織り交ぜていた。第2打席は凡退も、捉えた当たりだっただけに警戒されているのは明らかだった。

「変化球の意識を持たないといけない場面」で打ち返した速球

 そんな中でギアを上げた直球が4球続いてボール、ファウル、ボール、ストライクを見逃してカウント2-2。「1打席目は詰まらされていたし、レイからしたらフォーシームは確かに有効だという感じで攻めてきていました。ただ、打者からしたらあそこは変化球の意識を持たないといけない場面」と新井氏。走者がいなかった2打席目までとは明らかに状況が異なり、しかも相手は勝利投手の権利目前だった。

 結果的に、この日のレイとの対戦は合計10球連続直球。そろそろ変化球がくるかもしれないと考えながら大事な局面でしっかり対応し、粉砕してみせた。「久しぶりですよね、レフトのポール際へのホームラン。甘めのボールをセンター方向に持っていくのなら分かりますけど、外のボールをファウルにしないでレフトに運んだのが素晴らしい。大谷らしい素晴らしいホームランです。久しぶりに見せてもらいました」と新井氏は称えた。

 2試合ぶりの一発で、リーグトップのカイル・シュワーバー(フィリーズ)に1本差。直近4試合で3本塁打と、3年連続の本塁打王へ調子を上げてきている。チームは2013年から13年連続でポストシーズン進出が決定。地区優勝へのマジックナンバーは「4」となった。

 歓喜の瞬間に向け、チームをけん引し続ける大谷。「このところはいい状態に見えます。最近の好調さを、そのまま示した試合だったと思います」。残り8試合。最高のフィニッシュを迎えるべく、好調をキープしてラストスパートをかけてくれそうだ。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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