清宮幸太郎がトップを争う“非公式タイトル” パ・リーグの意外なナンバーワンの数々

タイトル表彰以外の部門にも要注目
シーズン終了後にタイトル表彰の対象となる成績としては、投手であれば勝利数、防御率、奪三振、勝率、ホールドポイント、セーブなどが挙げられる。野手では打率、本塁打、打点、安打、盗塁、出塁率などが表彰の対象となるが、各選手が記録する成績はそれ以外にも多く存在している。
今回は、タイトル表彰の対象にならない成績で、パ・リーグの上位5位以内に入る数字を記録している選手たちの顔ぶれを確認。比較的注目度の低い部門において優れた能力を発揮している選手たちを紹介するとともに、残り僅かになったシーズンにおける順位の逆転があるかについても考えていきたい。(※成績は9月17日の試合終了時点)
伊藤大海と今井達也の大黒柱の役割を示す数字
登板数は杉山一樹投手(ソフトバンク)と西垣雅矢投手(楽天)が60試合でリーグトップタイとなっており、藤平尚真投手(楽天)が57試合でそれに続いている。4位のアンドレス・マチャド投手(オリックス)、5位の則本昂大投手(楽天)も含めて、いずれも重要な局面で登板する機会が多い投手たちであり、各投手のチームに対する貢献度の高さがあらためてうかがえる結果となっている。
投球回では、伊藤大海投手(日本ハム)が175回2/3イニングでリーグトップに立ち、2位のリバン・モイネロ投手(ソフトバンク)とは15回2/3イニングの大きな差をつけている。プロ1年目から今季まで5年連続で規定投球回に到達している伊藤だが、リーグトップの投球回を記録したことはこれまで一度もないだけに、投手陣をけん引した証となる新たな勲章を手にできるか注目だ。
完投数では伊藤と今井達也投手(西武)がそれぞれリーグトップタイの5完投を記録し、投手陣の大黒柱としてリリーフの負担を軽減している。それに加えて、自身初の規定投球回到達が間近に迫る北山亘基投手(日本ハム)と、わずか11度の先発で4完投を記録している金村尚真投手(日本ハム)がリーグ2位タイとなっており、ファイターズ投手陣の層の厚さを示している。
完封勝利数では今井と金村がリーグ最多の3完封を記録しており、モイネロと田嶋大樹投手(オリックス)が2完封でそれに続いている。今井は8月23日と9月2日に2試合連続で完封を達成する離れ業を演じており、金村は3月から5月にかけて3カ月続けて完封を記録。両投手が出色の投球を披露していたことが、これらの成績からもうかがえる。
二塁打は3人の「西川」が争い、三塁打は韋駄天が独走
打席数では開幕から全試合出場を継続中のタイラー・ネビン外野手(西武)がリーグトップに立ち、清宮幸太郎内野手(日本ハム)がわずか4打席の差でネビンを追走している。西武が15試合、日本ハムが11試合と残りの試合数に差があるだけに、ネビンが最後まで全試合出場を継続できるか否かが最終結果を左右することになりそうだ。
二塁打では西川史礁外野手(ロッテ)がリーグトップの24本を記録し、西川龍馬外野手(オリックス)、西川愛也外野手(西武)、ネビン、中川圭太内野手(オリックス)が1本差でリーグ2位タイとなっている。同じ「西川」という名字を持つ選手がリーグトップタイで並ぶ可能性がある点も含めて、最後まで興味深い争いが展開される可能性が高い部門と言えよう。
三塁打では五十幡亮汰外野手(日本ハム)が規定打席未満ながらリーグ唯一の2桁となる10本を記録し、2位に入っている同僚の水野達稀内野手(日本ハム)とは3本の差をつけている。今季はリーグ3位の25盗塁と持ち前の脚力を存分に発揮しており、プロ5年目にして攻撃面での貢献度が大きく高まっていることを成績の面でも証明している。
塁打ではフランミル・レイエス外野手(日本ハム)が238塁打でリーグトップに位置し、ネビンが206塁打でそれに続いている。本塁打と打点の2冠を快走するレイエスが他の選手を大きく引き離してトップに立ち、同じく助っ人のネビンが2位に入っている点は示唆的だが、清宮幸、西川愛也、万波中正外野手(日本ハム)といった日本人野手の奮闘も目を引くところだ。
得点や犠打は僅差、シーズン終盤で逆転可能性も
得点ではレイエスと清宮幸がともに58得点でリーグトップタイに位置し、西川愛也がわずか1得点の差で2位に位置している。チャンスメーカーとしての役割を担う西川に加えて、打線の中軸を任されることも多いレイエスと清宮幸もリーグトップクラスの得点数を記録している点は興味深い要素となっている。
四球では柳町達外野手(ソフトバンク)がリーグ最多の57個を記録し、レイエスが50個で続く。また、浅村栄斗内野手(楽天)がリーグ3位、近藤健介外野手(ソフトバンク)がリーグ4位と、出場試合数が100試合未満の2選手が上位に入っている点も興味深い。柳町はリーグ1位の出塁率.389と最高出塁率のタイトルも射程圏内に捉えており、リーグ屈指の選球眼を持つことを示している。
犠打は滝澤夏央内野手(西武)が21個でリーグトップに立ち、友杉篤輝内野手(ロッテ)がリーグ2位の19個、海野隆司捕手(ソ)がリーグ3位の18個でそれに続いている。現時点では1位から3位までの差がわずかで、上位3選手ともに規定打席未到達ながらリーグトップクラスの犠打数を記録しているだけに、残り試合で順位の変動が起こる可能性が十分にある部門の一つと考えられる。
犠飛は宗山塁内野手(楽天)と外崎修汰内野手(西武)がそれぞれリーグトップタイの8本を記録し、渡邊佳明内野手(楽天)と杉本裕太郎外野手(オリックス)が、それに続く6本の犠飛を放っている。「最低限の仕事」と表現されることも多いものの、犠飛は決して頻繁に数字が増加する成績ではないだけに、このまま宗山と外崎がリーグ最多の座を争う構図となる可能性が高そうだ。
主要タイトルと位置づけられている成績以外にも、その選手がシーズンを通して活躍してきたことを示す数字は多く存在している。今回取り上げた各種の成績でリーグ上位に入っている選手たちが、残りわずかとなったレギュラーシーズンや、これから迎えるポストシーズンにおいて見せてくれるであろう活躍に、あらためて注目してみてはいかがだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)