大谷翔平のHR王に“黄色信号” 足踏み続くド軍が足枷に…シュワーバーが有利のワケ

ドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】
ドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】

激しいワイルドカード争い最中のDバックスと2試合、マリナーズと3試合

 ナ・リーグ本塁打王争いに動きがあった。23日(日本時間24日)にはドジャース・大谷翔平投手がダイヤモンドバックス戦で3打数無安打に終わったのに対し、フィリーズのカイル・シュワーバー外野手は54号ソロ。1本抜け出す形となった。両雄ともに今季残り試合は「5」。果たして最後にタイトルを手にするのは――。

 大谷は23日のダイヤモンドバックス戦で打者として、相手先発で今季13勝を挙げている右腕ブランドン・ファット投手と対戦した。初回の第1打席はカウント1-2から、内角高めの147キロのカットボールに詰まらされ、二ゴロ。3回の第2打席も同じような内角高めのカットボールをとらえ切れず、三飛に倒れた。

 現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも詳しい野球評論家・新井宏昌氏は「ファットには左打者にとって苦しい打撃になりがちな内角のカットボールを、非常にいいコースに制球しました。大谷のスイング、打ち方自体は悪くなかった。今日のところは相手の技術が上回ったと考えるべきです」と前向きに評した。

 一方で、新井氏は「(本塁打王争いは)シュワーバーの方がやや有利かもしれませんね」と見る。1本差でリードしている上、ドジャースとフィリーズでは、今季残り試合の対戦相手に“格差”があるからだ。

 ドジャースはダイヤモンドバックス戦を2試合、マリナーズ戦を3試合を残している。ダイヤモンドバックスはナ・リーグの“ポストシーズン進出切符”の最後の1枚を、メッツ、レッズと激しく争っている最中で、負けられない試合が続く。ア・リーグ西地区首位のマリナーズは既にポストシーズン進出を決め、イチロー氏(球団会長付特別補佐兼インストラクター)がメジャー1年目にしてMVPを獲得した2001年以来、実に24年ぶりとなる地区優勝にもマジック「1」としているが、ポストシーズンの組み合わせが懸かるだけに、こちらも最後まで気を抜けそうにない。

フィリーズのカイル・シュワーバー【写真:ロイター】
フィリーズのカイル・シュワーバー【写真:ロイター】

フィリーズはマーリンズと2試合、PS既に消滅のツインズと3試合

 新井氏は「ドジャースの対戦相手は、多少不利な展開になっても一線級のリリーフ投手を継ぎこんでくるでしょうし、勝つために大谷が四球で歩かされるケースも出てくるでしょう。大谷自身も彼の野球観からすると、チームの勝利優先で無理には打とうとせず、四球でもいいと考えると思います」と分析する。

 対照的に、シュワーバーを擁するフィリーズの残り試合は、マーリンズ戦2試合、ツインズ戦3試合。マーリンズは残り5試合で、ワイルドカード争い3位のメッツに4ゲーム差とポストシーズン進出が風前の灯。ツインズは既に進出の可能性が消滅している。

 新井氏は「黒星が先行しているマーリンズ、ツインズはマイナーから上がってきたばかりの若い投手が伸び伸び投げて、シュワーバーにとって意外に打ちにくい状況になる可能性もあります」とした上で、「基本的にどんどん勝負はしてくるでしょうし、力量的にもシュワーバーに有利だと思います」と指摘する。

 もちろん、大谷には“ハンデ”を跳ね返すパワーと技術がある。今月19、20日のジャイアンツ戦では2試合続けて“逆方向”の左翼席へ放り込むなど、打撃の調子はいい。ぜひ劇的な大逆転を見たい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY