2日連続の無死満塁“火消し”は「奇跡です」 剛腕の“新境地”…封印した「色気」

山崎颯一郎「内心は『まさかな……』ぐらいの気持ちでしたね。2日目は」
強靭なメンタルは“自然体”にあった。オリックスの山崎颯一郎投手は、20日に行われた敵地のソフトバンク戦に5番手で登板。3-3と同点の8回無死満塁でマウンドに向かった。「意外と冷静に行けました。緊張はしますけど、それはもう……仕方ないじゃないですか(笑)」。柔和な笑みが溢れていた。
先頭の海野を空振り三振に仕留めると、続く野村勇は初球を中飛。2死からは周東を見逃し三振に封じ、絶体絶命のピンチを乗り切った。「何を考えても仕方ないので……。打たれても仕方ない、ぐらいの気持ちでいきました。なんとか抑えられてよかったです」。9回に味方打線が2点を奪い、今季2勝目をゲット。お立ち台でフラッシュライトを浴びた。
「内心は『まさかな……』ぐらいの気持ちでしたね。2日目は」
21日の同戦でも、2点リードの8回無死満塁でマウンドに上がった。先頭の栗原を3球目の直球で空振り三振に仕留めると、牧原大は一邪飛に。2死となって迎えた代打・山川を見逃し三振に仕留めると、大きく叫んだ。
「正直なところ『2日連続で抑えられるわけないだろ……』ってぐらいの気持ちで(マウンドに)行ったんです。奇跡ですよ。今までの僕だったら『絶対に抑えてやろう!』くらいの気持ちで行ってましたけど、逆に『もう仕方ないぞ』くらいの気持ちで行けたのがよかったのかもしれません。振り返ると、すごく丁寧な投球ができていたと思います」
2023年には53試合に登板し、3連覇を決めたマウンドにも君臨していたが、昨季は7試合の登板にとどまった。今季はここまで25試合に登板して防御率は4.07。ファームでの調整期間も長かったが、充実の表情を見せる。
「どこまで続けられるか、わからないですけど。僕としては頑張るだけです。(ポイントは)色気づかないこと。カウントを追い込んだからといって、三振を狙わないことですね。狙うと力んでしまうので」
言葉に熱が込もったタイミングで、紅林弘太郎内野手が後ろを“通過”した。パッと目が合うと「教えようか~? うまい力の抜き方(笑)」と愛情を込めてイジる。普段通りの日常に、戻ってきた。
(真柴健 / Ken Mashiba)