覚悟の育成契約、宜保翔が見据える“秋の実戦” 右肩痛に悩んだ1年…掴んだ復活の手応え

7年目の宜保翔が意欲「フェニックスに行きたい」
右肩痛で育成契約となったオリックス・宜保翔内野手が早期の支配下再登録を目指し、懸命にリハビリを続けている。「早く実戦復帰して、(10月から始まる)フェニックス・リーグに参加したいです」と真剣な表情で前を見据えた。
宜保は沖縄県豊見城市出身。未来沖縄高から2018年ドラフト5位で入団した走攻守3拍子そろった内野手で、高校時代から「スタンドを一瞬にして沸かせる」という守備が自慢だ。プロ入り後も、二塁手として一、二塁間を抜ける打球を捕球してアウトにするなど、華麗な守備で「猛牛忍者」の異名を取っていた。
しかし、2024年3月に「右肩関節前方インピンジメント症候群」と診断されると出場機会が減り、オフに育成契約に。7年目の今季は、ウエスタン・リーグで7月末までに40試合に出場し94打数27安打、13打点、打率.287と数字は残したが、支配下再登録はかなわなかった。肩の状態は上向いていたが、深い位置からの送球や外野からのカットなど、瞬時に強い送球が求められるプレーに一抹の不安があったのが理由のようだった。
支配下登録期限が過ぎた8月1日以降は、アマチュアとの交流戦に指名打者で出場しながら、リハビリを続けている。「メインは打つこと、走ること、捕ること。投げることは慎重にやっています」と話すが、上半身に負荷をかけるトレーニングにも取り組み「上半身を締めていく感じ」と、復活に手応えを感じている。
「今は全力で投げるためのリハビリをやっています。フェニックスには行きたいです。(球団施設の)舞洲でもできることはありますが、実戦の中でプレーするのが一番なんです。十分なプレーができないままオフには入りたくないので、それまでにしっかりと投げられる自信をつけて、キャンプを迎えたい」と宜保は意欲を見せる。
真面目でひたむき。実績のある選手だけに肩の不安さえなくなれば、チームにとって大きな戦力になるのは間違いない。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)