大谷との再会から5時間後「チャンスもらったが」 ド軍ロッカーに広がった“残酷な光景”

元エ軍ヒーニーは1か月ぶりのメジャー登板で2回4安打3失点
【MLB】ドジャース 5ー3 マリナーズ(日本時間28日・シアトル)
あまりに残酷な光景だった。試合後のクラブハウス。ドジャースのアンドリュー・ヒーニー投手のロッカーはただ一人、キレイに片付けられていた。グラブなどの野球道具は全てドジャースの大きなボストンバッグに。つまりは今日でチーム本隊から離れるということだろう。「今日チャンスをもらいましたが……。正直、あまり良い投球はできなかった」。唇を噛み締めた。
エンゼルスで長くエースを張ってきた左腕は8月末にパイレーツを退団。1日(日本時間2日)にドジャースとマイナー契約した。傘下3Aオクラホマシティでは4試合に先発。勝敗はつかなかったものの、防御率0.90。計10イニングで13奪三振、2四球と内容も抜群だった。「順調でしたね。結果も出せました。メカニックでいくつか修正してました」。手応えをつかんでの昇格だった。
しかし、メジャーは甘くなかった。登板機会は4回から。四球、二塁打で招いた1死二、三塁のピンチはしのいだが、5回は1死一、二塁からポランコに甘く入ったカーブを左翼スタンドへ運ばれた。約1か月ぶりのメジャー登板は、2回2奪三振1四球、4安打3失点だった。
「救援は問題なかった。経験していることですから、いい形でやれたと思う。悪くはないですけど、もっと良く出来たと思います。特に左打者への四球は良くなかった。その後(5回)に内野安打を許して、それからポランコに対してストライクゾーンに甘い球を続けてしまった」。反省ばかりが口をついて出た。
失意の取材対応から5時間前、エンゼルス時代に同僚だった大谷翔平とハグを交わした。「彼に会えて良かったよ。『家族はどう?』って聞いたんだ」と、最後に笑顔を見せてくれた。
メジャー12年目の今季はパイレーツ、ドジャースで計27試合登板して5勝10敗、防御率5.52だった。メジャーの酸いも甘いも経験した34歳。再び輝く瞬間をまた見たい。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)