佐藤一磨、飛躍の裏に石川亮が送った助言 認識した“武器”「150キロは投げられない」

オリックス・佐藤一磨【写真:小林靖】
オリックス・佐藤一磨【写真:小林靖】

プロ2勝目の佐藤一磨が感謝、石川が左腕に送った打開策

 オリックスの佐藤一磨投手が、石川亮捕手の助言を参考に投球スタイルを変えプロ2勝目を挙げた。「僕が上(1軍)で活躍するために、何が足りないのですかと相談させてもらいました。その答えが、打者の嫌がることをすることだったんです」。

 緩急を使った投球で、9月21日のソフトバンク戦で約1年3か月ぶりに白星をつかんだ佐藤が、笑顔で石川から受けた“金言”を明かした。

 佐藤は横浜隼人高から2019年育成ドラフト1位でオリックスに入団した左腕。190センチの長身から投げ込む直球やカーブ、スライダー、フォークなどの変化球を武器に、3年目からウエスタン・リーグでローテーションを守り、2023年には8勝を挙げ最多勝のタイトルを獲得した。2024年6月に支配下登録されると、交流戦の巨人戦(東京ドーム)でプロ初先発し、初勝利を挙げた。

 6年目の今季は、8月初旬まで2軍で14試合に登板し8勝2敗、防御率1.43と好成績を残した。先発陣が充実している1軍のチーム事情もあり、8月20日の日本ハム戦で初登板し4回を2失点も、1軍登録を抹消された。

 石川に助言を仰いだのは9月に入ってすぐ。広島戦で先発し、4回を76球、被安打8、4失点で負け投手になった直後だった。「自分の中では調子がよかったのですが、打たれて4回しか持ちませんでした。何が足りないのかを亮さん(石川捕手)に聞きにいったんです」。

 プロ12年目の石川の答えは明確だった。「真っすぐの強さやフォーク、カーブなどの変化球のキレや落差を意識しているようだけど、それはパワーピッチャーのやること」と指摘を受けた。

 打開策にも導いてくれた。「それじゃどうやって抑えていくとなったら、バットの届かないところに投げたり、間合いを変えるなど打者が嫌がったりすることを武器にしたらいいんじゃないの」。その言葉は、佐藤の意識を大きく変えるものだった。

「今から僕が150キロの真っすぐを投げることはできませんし、曽谷(龍平投手)さんのようなスライダーやフォークは投げられないんで。自分が“主”で投げるのではなく、打者を“主”にして嫌がることをやることにしました」。ソフトバンク戦では、走者がいなくてもクイックで投げたり足を上げるタイミングを変えて打者のタイミングを外し、5回を被安打5、6奪三振、3与四球、無失点に抑えた。

「テーマを持って臨んだことが、しっかりとできたと思います」と、佐藤は真価を問われる次戦登板に向け、自信を深めている。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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