打たせて取る投球から“変身” 移籍2年目の博志が新境地「野球人生で次につながる姿を」

オリックス・博志【写真:栗木一考】
オリックス・博志【写真:栗木一考】

ポストシーズンの秘密兵器となるか

 オリックスの博志投手が、多彩な変化球を駆使し打たせて取る投球から三振を取れる投手への変身を図っている。

「僕は三振を取れないピッチャーだと思われているので、ちょっと違うというイメージを持ってほしいですね。今は楽しいですよ」。博志が笑顔で近況を説明してくれた。

 博志は磐田東高(静岡)、ヤマハから2017年ドラフト1位で中日入り。1年目にセットアッパーとしてチーム最多の53試合に登板し、2年目は開幕から守護神に抜擢され14セーブを記録した。しかし、6年目の2023年には1軍で9試合登板にとどまり、オフの現役ドラフトでオリックスに移籍した。

 移籍1年目の昨季は、先発で起用されたほか中継ぎとして32試合に登板。救援だけでなく3イニングの回またぎもこなすタフネスぶりを発揮し、ブルペン陣を支えた。今季は開幕1軍入りしたが、6月14日に2度目の登録抹消以降、2軍戦で調整を進めてきた。

 首脳陣の信頼を取り戻すため、ボールを低めに集めることに取り組んだこともあった。「元々、ゴロを打たせるピッチャー。ベルト付近にボールが集まると、いくらスピードがあっても打者に合わせられますから、投球術でどういう打球を打たせたいのかを考えています」と話したのは、7月下旬のことだった。

 それから2か月。博志は三振を奪うことにフォーカスしている。「上(首脳陣)にちょっと違うところを見せたいですね」と明かすように、1軍昇格へのアピールが目的ではあったが、「野球人生の中で、次につながる新しい姿を求めたい」という意識も大きかったという。

「三振を狙えるところは狙おうと思って、登板ごとに1個を目標にしています」といい、取り組みを始めた後の10試合(10回1/3)で、12個の三振を奪った。「タイミングを変えたり、高めでつったり。カットボールで泳がせてみたり、逆にツーシームや真っ直ぐ系で(内角を)差したり、いろいろやってます」と博志は明かした。

 打たせて取るという基本は変えない。「三振なんて狙ったことはなく、結果として三振になっているだけ。ゴロを打たせるために、(打者に)気持ちよくスイングをさせないことばかり考えていましたが、今はどうやったら空振りを取れるか、どういう(カウントの)追い込み方をしたらいいのかを考えてやっています」。防御率も1.27まで下げ、9月24日には「スチールエンジホールディングス」が制定した8月の月間MVP賞に輝いた。1軍の中継ぎ陣が充実する中、静かにポストシーズンでの出番を待つ。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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