CSの秘密兵器はドラ6片山楽生…誓った勝利の「ピースにはまりたい」 オリ厚澤Cの期待

オリックス・片山楽生【写真:小林靖】
オリックス・片山楽生【写真:小林靖】

オリックスはCSで日本ハムと戦う

 オリックスのドラフト6位新人、片山楽生投手(白樺学園、NTT東日本)が、シーズン最終盤の再昇格後に中継ぎとして存在感を示し、クライマックスシリーズ(CS)で厚澤和幸投手コーチが目指すブルペン陣の「スーパー・ドリームチーム」の秘密兵器として期待を集めている。

「負けパターン(の登板)でも、点差は関係なく自分のすべてをぶつけて投げました。もっともっと、チームが勝つためのピースにはまりたいと思ってやってきました」。23歳の誕生日を迎えた10月7日、CS前の全体練習を終えた片山が、声を弾ませた。

 1年目の今季、6月10日に1軍昇格を果たし、主にビハインドの登板で経験を重ねてきた。直球にツーシーム、カットボール、フォークボールの緩急で打たせて取る投球が身上の右腕。安定感があり、8月以降は0‐2や2‐3の8回などチームの反撃につながる重要な場面に登板する機会も増えてきた。

 しかし、9月4日のソフトバンク戦(みずほPayPayドーム)で2失点、9月7日のロッテ戦(ZOZOマリン)で1失点した後に、登録を抹消されてしまった。岸田護監督からは「CSもある。独特の間やマウンドさばきは天性のものがあるので、大事にして」と声を掛けられたという。

 首脳陣からは、ストレートを磨いてくるように指示を受けたが、先発した9月14日の広島戦(由宇)で3回、56球、被安打7、4失点で降板してしまった。直球にこだわり過ぎた反省から、オープン戦以来使ってなかったチェンジアップを試したところ、「それまで横の変化ばかりだったのが、奥行きを使えるようになりました」というように、投球の幅が広がった。続く2試合では三振も奪えるようになり、10月2日の西武戦(京セラドーム)から再昇格を果たすことができた。

 同日の試合では、先頭に四球を与えたものの、西川愛也外野手をチェンジアップで右飛に打ち取るなど、1回を無安打、無失点。最終戦となった10月5日の楽天戦(楽天モバイルパーク)では2‐1の延長11回に9番手として登板し、左打者3人を二ゴロ、空振り三振、空振り三振で仕留め、初セーブを挙げた。

 CSを前に「短期決戦では、投手起用は話しません」と口の硬い厚澤コーチも、「ライク(片山)の場合は、球種がどうのこうのではありません。2軍に落ちた時の悔しさを晴らすという姿勢が、今、すごく生きています。選手には、何回もやり直せるチャンスがあるんです。そのチャンスの時に何を持って帰ってくるかなんです。彼の場合、すごくいいものを持って帰ってきてくれました」とたたえた。

 4位楽天が迫ってきたシーズン終盤、ブルペン陣を再編した中継ぎの「ドリームチーム」でソフトバンク4連戦に4連勝。3位を確定後は、先発要員の寺西成騎投手を中継ぎで起用して成果を挙げている投手陣。片山も加わった「スーパー・ドリームチーム」で、下剋上を果たす。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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