DeNA巻き返しへ…佐藤輝明以上に“警戒すべき存在” 専門家が指摘「短期決戦に強いタイプ」

4回にチーム初安打を許し、6回には決勝打を浴びた
■阪神 2ー0 DeNA(15日・甲子園)
DeNAは15日に敵地で行われた阪神とのセ・リーグのCS(クライマックスシリーズ)ファイナルステージ第1戦に0-2で零封負け。阪神に1勝のアドバンテージがあるため、0勝2敗となった。レギュラーシーズンは阪神に13ゲーム差の2位にとどまったものの、2年連続日本シリーズ制覇を目指し、ファーストステージで巨人を連勝したベイスターズ。巻き返しの可能性は残されているのだろうか。
現役時代に阪神や横浜(現DeNA)など、4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「短期決戦を勝ち抜くには、相手のキーマンとなる打者を徹底的にマークし封じ込めることが鉄則」が持論を展開。阪神のキーマンと言えば、今季40本塁打、102打点で2冠に輝いた4番・佐藤輝明内野手が思い浮かぶが、野口氏は「いや、僕は森下(翔太外野手)だと思います。もともと勝負強く、短期決戦に強いタイプですし、チャンスで森下に回る流れになっています」と語った。
この日、DeNAは先発の東克樹投手が5回まで2安打無失点の快投。ただ、森下には4回にチーム初安打の中前打を許し、両チーム無得点のまま迎えた6回1死三塁のピンチでは、外角高めの144キロのシュートを中前に弾き返され、先制点を献上した。結果的にこれが決勝点となった。
「(先制打された球は)決して悪いコースではありませんでしたが、あえていえば少し高かった」と野口氏。森下はプロ1年目の2023年の日本シリーズで打率.267、チーム最多の7打点をマークし優秀選手賞を獲得。昨年11月のWBSCプレミア12では、侍ジャパンの4番として打率.357、1本塁打9打点と活躍した。野口氏は「DeNAが巻き返すには、森下に仕事をさせないことが重要」と断言する。
一方、DeNA打線では「5番・一塁」でフル出場した牧秀悟内野手の復調が待たれる。牧は今季、左手親指を痛めて8月1日に出場選手登録を抹消され、そこでレギュラーシーズンを終えた。その後、靭帯を修復する手術を受け、リハビリに取り組んできた。巨人とのファーストステージから戦列に復帰したが、本来の打棒は戻り切っていない。
「手術した左手をかばっている印象を受けた」牧の復調はなるか
この日は4打数1安打。3回1死一、二塁の先制機では、阪神先発の村上頌樹投手に対し、低めのチェンジアップを振らされ三振に倒れた。それでも7回には、リリーフの切り札である石井大智投手に対し、泳ぎながらもフォークを拾い左前打をマークした。
「牧の現状は、右手の力が強過ぎて、スイングが“アウトサイドイン”になっています。手術をした左手をかばっている印象を受けました」と野口氏は指摘する。「しばらくは、石井からヒットを放ったような甘い変化球は打てても、厳しい内角球には対応が難しいかもしれません」と今後を予測した。
本来なら不動の4番を任され、ムードメーカーもある牧は、万全の状態でないのを承知の上で短期決戦に臨んでいる。牧が結果を残せるかも、DeNAの命運を握っている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)