NPB史上に名を刻んだ阪神・大山の6安打 6人の先人はいずれも名打者で活躍

阪神・大山悠輔【写真:荒川祐史】
阪神・大山悠輔【写真:荒川祐史】

21世紀では城島健司以来15年ぶり2人目

 阪神の大山悠輔は、9月16日のDeNA戦で6打数6安打を記録した。1試合6安打は、1974年の高田繁以来、44年ぶりに出たセ・リーグタイ記録だった。

 1試合で6安打以上した選手は、NPB史上に7人いる。

〇NPB記録
7安打(7打数) 大下弘(東急)
1949年11月19日 〇22-5大陽
3番・左翼 3二塁打4単打5打点

〇セ・リーグ記録
6安打(6打数) 大沢伸夫(大洋)
1951年8月26日 〇20-2広島
5番・一塁 2本塁打1二塁打3単打6打点

6安打(6打数) 渡辺博之(大阪)
1954年5月26日 〇15-11中日
3番・右翼 1二塁打5単打5打点

6安打 高田繁(巨人)
1974年5月10日 〇16-7中日
1番・左翼 1本塁打1二塁打4単打2打点

6安打 大山悠輔(阪神)
2018年9月16日 〇20-4DeNA戦
3番・三塁 3本塁打3単打7打点

〇パ・リーグ
6安打(6打数) 仰木彬(西鉄)
1955年5月22日 〇15-5トンボ
1番・二塁 2本塁打1二塁打3単打3打点

6安打(7打数) 城島健司(ダイエー)
2003年7月27日 〇26-7オリックス
5番・捕手 2本塁打1二塁打3単打7打点

 NPB記録は「青バットの大下」として知られたスター選手、大下弘が記録した7打数7安打。1リーグ時代最後の1949年に生まれた記録だった。大下は殿堂入りを果たしている。

 大沢伸夫は「大沢親分」として知られた元日本ハム監督の大沢啓二の実兄。中日、大洋などで長く一塁手として活躍した。

 渡辺博之はダイナマイト打線の5番打者。この年は91打点で打点王を獲得している。高田繁は巨人V9戦士の1人で、現在はDeNAのGMだ。

 仰木彬は全盛期の西鉄の二塁手。近鉄、オリックスで采配を振った名将。イチローの名付け親としても知られる。仰木も殿堂入りした。

 城島健司はホークスの強打の捕手。のちにMLBでも活躍した。

 この記録は自分1人では達成できない。打線自体が好調で、多くの打席が回ってこなければ安打も打てない。7試合ともチームは2桁得点で大勝している。

 また、6安打以上した7人のうち4人は1950年代以前に記録している。この時代は戦力が不均衡で、強いチームと弱いチームの格差が大きかった。

 なお、1900年以降のMLB記録では、1932年7月10日にクリーブランド・インディアンスのジョニー・バーネットがフィラデルフィア・アスレチックス戦で記録した9安打(11打数)が最多。この試合は延長18回まで行われた。9イニングスの記録では、1975年9月16日、ピッツバーグ・パイレーツのレニー・ステネットがシカゴ・カブス戦で記録した7安打(7打数)が最多だ。

 21世紀では城島に続いて2人目。これまでの達成者6人は、いずれも球史に名を残す野球人になった。2年目の大山悠輔は、今後どんな選手に成長するだろうか。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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