打てる捕手の台頭が嬉しい悩みに? 今年の各球団捕手を振り返る【パ・リーグ編】

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ワンバウンドを止められる相乗効果「思い切って腕振って投げられるという心理になる」

 今季、パ・リーグのベストナイン捕手部門は炭谷(西武)が受賞した。また、世界野球「プレミア12」では嶋(楽天)が正捕手を務め、大野(日本ハム)はチームの来季主将に指名されている。セ・リーグと比べてみると、パ・リーグはがっちりと正捕手の地位を固める選手が増えている印象を受ける。

 ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜と4球団で捕手として活躍した野口寿浩氏は、今季のパ・リーグ球団の捕手事情を振り返り、まずは圧倒的な強さを見せたソフトバンクについて「誰が出ても良かったなというところでしょうね」と、細川、高谷の2人体制ながら、2年連続の日本一に貢献した捕手陣を称えた。

「高谷は日本シリーズでも見られましたけど、まずは絶対にワンバウンドをそらさない。キャッチャーの基本ですよ。高谷だって去年まで1軍を行ったり来たりの選手だったんですよ。それが、こういうところがちゃんとできれば、こうして使ってもらえるわけです。とにかく成長しましたよね」

 今季チーム最多の14勝を挙げた武田のカーブ、そして、9勝を挙げた中田や後半戦で貴重な働きを見せた千賀のフォークなど、多くの落ちる球を受けるソフトバンク捕手陣だが、野口氏は特にポストシーズンで際立った高谷の捕球技術を改めて絶賛した。

「ピッチャーが『ワンバウンドをちゃんと止めてくれる。だったら低めに変化球を思い切って腕を振って投げられる』という心理になる。で、投げられたから空振りが取れた。だから、いい成績を収められた。

 配球とかそういうのは、その時にスコアラーが持ってきたデータとかで色々違うので、それはチームとして誰が出ても同じようにしていけばいい話でもある。だから、どこで差が出るかというと、『ワンバウンドを止められる』、『盗塁を刺せる』、あとは『バッティング』となってくる。(監督の)工藤さんが認めないと、試合には使われないですから、認められ始めたということですよね。(細川の)怪我のチャンスをうまく掴んだ」

 そして、2位の日本ハムについては、野口氏は今季打率.326とDHでブレイクを果たした近藤の起用法について言及した。

「キャンプの時に栗山監督が『近ちゃんにとって一番いいものの可能性を今年は探っていく』と言っていたんです。そのためにキャッチャーをもう一回やらせるということ。『サードには外国人がきたし、彼の野球人生のプラスになるように、今年はキャッチャーをやらせるよ』と言っていたんです。大野も出遅れていたので」

 開幕前に栗山監督と話した時点では、近藤を捕手として起用する方針を明かしていたというが、シーズンが始まると、やはり大野、市川がマスクを被ることになった。野口氏は言う。

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