石岡第一、農業実習も強豪も乗り越えた県4強…21世紀枠候補校の推薦理由は?
茨城大会では明秀日立、土浦日大と春夏甲子園出場校を撃破
日本高野連は14日、来春の第91回選抜高等学校野球大会の21世紀枠の候補校9校を発表した。21世紀枠は練習環境、地域貢献などが選考条件となり、各9地区から推薦される。そこで、ここでは推薦された9校の推薦理由などを紹介。今回は関東・東京地区の石岡第一高校だ。(主催者発表文より一部抜粋)
来年度に学校創立110周年を迎え、野球部も創部100年を超える伝統を持つ石岡第一。甲子園出場の実績はないが、平成28年、29年と2年連続で春季関東大会に出場している。近年、県内の強豪私学と互角の試合を展開しており、今秋の茨城大会では明秀日立、土浦日大と、今年の春夏甲子園出場校を破ってベスト4に進出した。準決勝では藤代に延長13回タイブレークの末に4-5で敗れた。主戦投手の岩本は最速147キロのストレートと切れ味鋭い変化球のコンビネーションで、投球回数(28回2/3)を大幅に上回る36奪三振を記録した関東屈指の好投手だ。
野球部員は全員が石岡市を中心とした近隣市町村の出身で構成され、普通科、園芸科、造園科でそれぞれ学んでいる。放課後の課外授業や農場での実習も多く、全部員が同時に練習できないという困難を抱えている。夏休み中にも農場実習があり、授業の一環として行われているため、部活動よりも優先して実習に出席しなければならない事情もある。グラウンド環境も恵まれているとは言い難く、異なる授業終了時間に応じてウオーミングアップを行うなど、短期間で密度の濃い練習をテーマとして工夫を凝らした取り組みをしている。
学校は農学校を母体に開校したため、全日制園芸科、造園科に加え、普通科と定時制を設置しているのが特色。長く、茨城県中南部の中核校として地域に密着した教育活動を営んでおり、多くの卒業生が近隣で活躍。特に、農業産出額全国第2位を誇る茨城県で、農業の担い手として多くの卒業生を輩出している。
野球部の他には、バトミントン部やウエイトリフティング部が強豪で、毎年のように全国大会に出場。園芸科、造園科の生徒が中心の農業クラブでは、農業鑑定競技会に園芸と造園で毎年参加。今年はフラワーデザインコンテストで全国大会出場を果たした。これまで石岡市内から甲子園に出場した高校は無い。選抜大会出場は、部員の体力アップに協力してきた近隣の農家など、地域の悲願でもある。
関東・東京地区の選考会では協議の結果、人口減少地区で部員数も少ないものの、チーム一丸となって初の県ベスト8を勝ちとった栃木の今市工と、これまで何度も強豪私学と互角に戦いながら甲子園出場経験のない石岡第一絞られた。そして、農学校を母体として実習等もある中で、強豪校を倒し茨城県ベスト4の石岡第一を推す意見が出て最終的に全会一致で関東・東京地区の推薦校に決まった。
(松倉雄太 / Yuta Matsukura)