100年の歴史を誇る八尾、グラウンド使用は週3日…21世紀枠候補校、推薦理由は?

高野連が来春選抜の21世紀枠候補9校を発表
高野連が来春選抜の21世紀枠候補9校を発表

“誰に対しても”挨拶する部員たちが、学校全体に好影響与える

 日本高野連は来春の第91回選抜高等学校野球大会の21世紀枠の候補校9校を発表した。21世紀枠は練習環境、地域貢献などが選考条件となり、各9地区から推薦される。そこで、ここでは推薦された9校の推薦理由などを紹介。今回は近畿地区の八尾高校だ。(主催者発表文より一部抜粋)

 八尾高校には長い歴史がある。もともと明治28年(1895年)に、大阪府第3尋常中学校として開校し、明治32年に大阪府第3中学校と改称。さらに明治34年に大阪府立八尾中学校と改称され、昭和23年の学制改革により大阪府立八尾高等学校となった。男女共学で、府下でも歴史と伝統のある進学校である。

 「質実剛健」にして「文武両道」の励む生徒を育てること、「骨太の人格」を備え、21世紀を支える人材をつくることが八尾の教育目標。具体的な取り組みとして、新入生の宿泊研修、主体的学習で「学び続ける力」をつけるロングラン勉強会を開催。大阪教育大学との連携授業も行っている。ほぼ100パーセントの生徒が進学し、クラブ加入率も85パーセントと高い。

 野球部は大正4年(1915年)に創部され、100年を超える歴史がある。過去には春6回、夏4回の出場があるが、最後の出場は1959年夏の41回選手権大会。選抜は1952年が最後の出場で出場なら67年ぶりとなる。

 野球部の指導方針として、『皆さんに「愛されるチーム」「応援されるチーム」をつくること』が掲げられ、練習メニューは主将を中心に部員たちが考えている。自ら学び、行動する力を養うために、指示されるのではなく自分達で話し合い、監督と相談して日々の練習に励んでいる。私学の台頭で力を発揮できない時期もあったが、近年は「公立でもできる」という意識を持った生徒が多く入学するようになり、今夏の第100回選手権記念南大阪大会ではベスト8に進出。新チームにはバッテリーが残り、足を絡めた積極的な野球で秋の大阪大会でもベスト16に進出した。

 毎週火曜日に休養日を設け、グラウンドは他のクラブと共有のため使用できるのは週3日しかない。19時完全下校など厳しい条件が並ぶが、練習内容を効率よく工夫することによりハンデを克服している。部員たちが誰に対しても気持ち良く挨拶していることが学校全体に波及し、挨拶する生徒が増えるなど学校にとっても好影響を与えている。

 近畿地区の選考会では各県高野連から推薦された6校すべてが公立校。その中から八尾と京都すばるの2校に絞られ、限られた場所、時間など厳しい条件の中で練習内容を工夫していること、バッテリーを中心にまとまりがあり、長打が少ない中で足を絡めた積極的で粘り強い試合運びをみせたこと、これらがまさに高校生らしいチームだと評価されて推薦校に決まった。なお、大阪の候補校が近畿地区で推薦されるのは、2001年に21世紀枠は創設されてから初めてのことである。

(松倉雄太 / Yuta Matsukura)

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