【中村紀洋の目】野球をうまくなりたい子供たちへ―「上達するために最も大事なことは…」
子供の性格は十人十色で考え方も違う
新年を迎えました。1年間はあっという間ですね。昨年は「N’s method」で活動する機会が増えました。子供たちに野球を教えることで僕もたくさんのことを学ばせていただきました。浜松開誠館で非常勤コーチもやらせてもらっていますが、子供の性格は十人十色で考え方も違います。ただ野球がうまくなるのではなく高校野球を通じて人間教育も非常に重要です。指導は非常に奥深いと改めて感じさせられました。
子供たちを教えていて感じるのが、野球が上達するために最も大事なのが「意識」だと思います。例えば素振りを例にとっても、ただ100回漠然と振るより、30回全身を使って振る方が身になります。キャッチボールもそうです。ボールをどうやって握って投げているか、どの位置に投げれば相手は捕りやすいか。基本的なことかもしれませんが、実はこの基本をおろそかにしているケースが非常に多く見受けられます。
監督やコーチの責任も重大です。頭ごなしに怒鳴り散らす指導法では、子供も「野球がうまくなりたい意識」より「指導者に怒られないようにする」ことに意識が向きます。せっかく好きで野球を始めたのに、指導者に何度も怒鳴られて「野球が嫌いになった」と辞めることになった話を聞くと心が痛みます。
野球がうまくなる時期は人それぞれです。大阪で生まれ育った僕も中学時代は打撃がからっきしで全然打てませんでした。自信がないから甲子園常連のPL学園、近大付属、上宮、北陽ではなく、公立の渋谷高校に進学しました。練習する施設や環境は野球強豪校に見劣りしましたが、「どうやったら野球がうまくなるか」という気持ちは持ち続けていました。
「N’s method」で教えている子たちが「初めて本塁打を打てました」と満面の笑みで報告してくれると、本当にうれしい気持ちになります。今年も子供たちの潜在能力を引き出す指導を心がけていきたいと思います。
文/構成 インプレッション・平尾類