キャンプも大盛況 九州移転30年、地元ファンに徹底的に密着するホークス
地元密着のマーケティングでもプロ野球界をリード
宮崎市では3つの球団が春季キャンプを行っているが、最も人気があるのがソフトバンクのキャンプだ。
3球団のキャンプ地へは、JR宮崎駅から直行バスが出ているが、ソフトバンクがキャンプを張る生目の杜運動公園への直行便が一番便数が多い。朝9時、10時台の便は、ほとんどが満員になっている。
また、生目の杜運動公園の駐車場は朝早くから車で埋まる。ナンバープレートを見ると、福岡県、大分県、熊本県、鹿児島県と九州全域からファンがやってきていることがわかる。ソフトバンクは、福岡県だけでなく九州全域で試合をしてきたこともあり、九州を代表するチームとして、地元ファンの支持を得てきたのだ。
ソフトバンクの春季キャンプは、多くのファンを受け入れるだけに、飲食、物販施設も充実している。店舗は、キャンプ地の入り口の「ホークスビレッジ」というエリアにあるが、店舗数は25店舗。やきそば、ラーメンなどキャンプ地の定番メニューだけでなく、魚のすり身を使った「天ぷら」や、みやざき地鶏の炭火焼き、レタス巻、肉巻きおにぎりなどの地元グルメを提供する店もある。
ホークスビレッジは、宮崎市観光協会が管理しているが、ソフトバンクキャンプに出店を希望する業者は多く、毎年抽選になっている。そのこともあって、毎年、新しいグルメの店が出店する。今年は「ぐんけい炭火焼きゆずマヨ」や「高千穂牛炙り丼」などのメニューが目を引いていた。
「ホークスビレッジ」とは別に、ソフトバンクの公式グッズを販売する店舗もある。プロ野球チームは毎年のようにユニフォームやキャップを変えるが、それを反映した最新の公式グッズを最初に購入できるのが、春季キャンプだ。また、キャンプオリジナルグッズも毎年デザインをリニューアルして販売している。こちらも、多くのファンを集めていた。
今年はホークスが、大阪から福岡に移転して30年。ソフトバンクでは「30th WE=KYUSHU」というロゴを作り、キャンペーンを展開している。このロゴは、キャンプオリジナルグッズにも入っている。またメイングラウンドの前には、ロゴの大きなモニュメントが設けられていた。メイングラウンド前には、2018年度のチャンピオンフラッグの展示や、ホークスのヘルメットのモニュメントなどもあり、撮影スポットになっている。
「地元九州のファンを大事にする」というソフトバンクの姿勢は徹底している。それは本拠地ヤフオクドームだけでなく、宮崎市の春季キャンプでも実感できる。それまで縁もゆかりもなかった九州の地に移転してから30年、ホークスは地元密着のマーケティングでもプロ野球界をリードしている。
(広尾晃 / Koh Hiroo)