ロッテドラ1・藤原が直面するプロの壁 直接指導しない井口流の育て方とは?
シート打撃でヒットが出ない藤原に「いい当たりをしていたね、焦らないで欲しい」
第2クールがスタートした。1日の休養を挟み、選手たちに躍動感あふれる動きが戻ってきた。実戦メインのキャンプを掲げた井口マリーンズ。この日もシート打撃を行なった。注目のルーキー・藤原恭大外野手になかなかヒットが出ない。セカンドゴロ、サードゴロ、セカンドゴロ。三遊間を抜けるかというヒット性の当たりも三塁手・鈴木大地内野手がダイビングキャッチで魅せた。これがプロ。練習と言えども簡単には抜けさせてはくれない。黄金ルーキーの一挙手一投足を井口資仁監督はジッと見つめていた。
「いい当たりをしていたね。結果は出ていないけど、焦らないで欲しい。マスコミの皆さんが煽るから1本打ちたいという思いは強いと思うけどね」
指揮官は練習後の記者会見でマスコミからの質問にそのように答えた。期待はしている。素材も高く評価をしている。それだけに簡単には声をかけない。指揮官だけではなく首脳陣全体にその方針は徹底している。まずは本人に考えさせる。思うようにさせる。若者が自分自身で悩み、考え抜いた上で手を差し伸べる方向だ。
「実戦型という印象。試合で使って、いろいろとプロの世界を感じて欲しい。(台湾プロ野球チームの)ラミゴ戦でもどちらかでスタメンで使う」
井口監督は直接指導をしないが、流れを作り出すプランを温めている。9日、10日に石垣島で行われる台湾プロ野球・ラミゴモンキーズとの練習試合2試合のうちどちらか1試合でスタメン起用。11日のキャンプ打ち上げ後は本島で行われる練習試合に帯同させ、なるべく多くの投手と対戦をさせ、経験を積ませるつもりだ。
一流のストレート。質の高い変化球。様々なタイプの投手。戸惑い、壁にぶち当たり、結果が出ないのは百も承知。実戦の中で悩み、反省し、考え、なにか実りあるヒントを自らの手でたぐり寄せて欲しいと願っている。それこそが井口流の育て方だ。
藤原は全体練習後に「ちょっとやりたいことがあります」と言い、ウエート場にこもった。首脳陣の想いを理解するように今、自分で考え、自分なりの答えを導き出そうとしている。キャンプは残す事あと4日。曇り、26度。この日も石垣島は温かった。若者は日々、壁にぶち当たりながらも確かに成長している。
(マリーンズ球団広報 梶原紀章)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)